どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

<おれ>という獣への鎮魂歌 (19)

2006-03-29 17:09:03 | 連載小説
 暗い中でドアノブに手をかけながら、もう一方の手で室内灯のスイッチを探していた。 「どなた?」 「あけて・・」紛れもないミナコさんの声だった。  玄関の、それほど高くもない天井の蛍光灯がパチパチと瞬いて点き、おれが押した鉄扉の隙間から、ミナコさんが転がりこんできた。 「どうしたの、こんな日に・・」  おれは、思わず手を差し伸べてミナコさんを抱きとめた。ポロシャツに短パン姿のおれの胸部に、ずぶぬれの . . . 本文を読む
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