どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

耳の穴のカナブン(9)

2006-12-08 01:43:17 | 連載小説
 庭の一郭に自生する野の草が、少しずつ季節をずらして花をつけていった。薊、桔梗、撫子、男郎花、女郎花、萩。もともとは庭師に依頼して土ごと移植した野生の植物が、環境に慣れ世代を越えて生き延びてきたものだった。  いずれも冷涼な土地を好む花々だけに、夏の日射しと暑さを避ける工夫は施されていて、そのための日除けや送風装置がある時期稼動する仕組みになっていた。  ちょっとしたお手伝いだけで、ふるさとの野花 . . . 本文を読む
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