どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

耳の穴のカナブン(7)

2006-12-02 05:13:01 | 連載小説
 異変に気付いたのは、校門の前で撮った坊ちゃまのポートレートを眺めているときだった。  ラシャ仕立ての制服と、同じ紺色の帽子を被った坊ちゃまが、誇らしげに胸を張るその肩口に、写るはずのない手が異物のように写りこんでいたのである。  話にはよく聞くが、実際に自分の撮った写真にそれらしい現象を発見したのは、初めてのことだった。何者かが、思い余った勢いでつい手を出してしまったという気配が感じられた。 「 . . . 本文を読む
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