どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

耳の穴のカナブン(8)

2006-12-05 01:48:59 | 連載小説
 モトコの疲れは、少しずつ溜まっていった。  ただ、我慢強い性質だったし、もともと田舎育ちで使い減りのしない肉体を持っていたから、急に具合が悪くなるといったことはなく、毎朝トシオを起こし、遅刻しないように送り出す日課は続いていた。  トシオが初めての夏休みを迎えると、お屋敷はこれまでにない活気に満たされた。坊ちゃまのお友だちが、入れ替わり立ち代わり現れて、お屋敷の中を隅々まで探検したからだ。  彼 . . . 本文を読む
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