どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

家出した猫の真実(上)

2008-12-02 03:32:44 | 短編小説
 黒猫の「白亜」は、東京から主人と一緒に軽井沢にきて、馴れない環境に戸惑っていた。  猫用のゲージを出たとたんに、どこから流れ込んでくるのか湿った木の香りを嗅いだ。その匂いは、これまでに嗅いだ人工的なものと違って魅惑的で、「白亜」の官能をうっとりとさせるものだった。 (この匂いには覚えがある・・・・)  早速、広いリビングルームを探検することにした。  フローリングの床は適度に冷えていて、肉球に心 . . . 本文を読む
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