どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

テスト・コースの青春(1)

2009-03-04 01:55:13 | 連載小説
 雄太はランドクルーザーのエンジンをかけた。  箱型の車体がブルブルと震え、運転者の昂ぶりに同調して鉄のマシーンも興奮しているように思えた。  L字型に矯正された背中と脚が、朝の冷気の中でいっそう緊張した。内部から溢れ出る活力を、筋肉の強張りで押しとどめようとしているかのようだった。  雄太はまだ若い。九月末で二十四歳になったばかりである。  地方の高校を卒業して五年余り、一度地元の信用組合 . . . 本文を読む
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