どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(超短編シリーズ)30 『恋焦がれ』

2010-04-16 02:32:43 | 短編小説
     (恋焦がれ)       父が亡くなったとき、葬式が始まる一時間ほど前に、一匹の揚羽蝶が迷い込んできた。  少し汗ばむ季節で、喪服を着た葬儀社の男も、親類の参列者も、庭からひらひらと入ってきた大型の蝶に気を呑まれていた。 (仏さんになる前に、あいさつに来たのかな・・・・)  少しでも父のことを知る者は、蝶の飛来の仕方に曰く言いがたい暗示を感じ取っていた。  川を挟んで山 . . . 本文を読む
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