どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(超短編シリーズ)107 『鳥を呼ぶ女』

2014-12-23 03:47:30 | 短編小説
    秋の高空に、忘れ柿が三つ浮かんでいた。  山梨県の長坂町に建てた別荘に妻を移り住ませて、二年目に見る風景だった。 「みゆきさん、あれを見てごらん」  松村は道端にサイドカーを停め、傍らの妻に指差してみせた。「・・・・ほら、柿の実が陽を受けて輝いているよ」  すると、ぽうっと空を見上げていた妻が突然側車から降り、柿の木に向かって右手を挙げ小さく弧を描き始めた。 . . . 本文を読む
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