どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(超短編シリーズ)114 『銀が泣いている』

2015-10-30 01:01:19 | 短編小説
   ぼくは田中くんと湖岸のホテルにいた。  20年前まで同じ職場にいて、ともに将棋が好きという趣味を通しての友だちだった。  昼休みになると、食事のあとの30分ほどで早指し将棋をさす。  勝負は互角と言いたいところだが、3回に1回ぐらいしか勝たせてもらえなかった。  職場での関係は、田中くんが突然退職し、郷里の長野に帰ったことで途絶えたが、その後も年に一度ぐらいは連絡を取り合 . . . 本文を読む
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