どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

思い出の短編小説『悪童狩り』(3)

2022-06-28 00:07:15 | 短編小説
 秋から冬へと、季節が泳ぐように空を渡っていく時期だから、家々の花木もひっそりと屋敷に納まって、なりを潜めている。 山茶花が咲くには、もう少しの冷え込みが必要だし、数馬の好きな太郎冠者の蕾も、まだ小さく固いままだった。 道すがら目にする時季遅れのサルビアには、風情というものがまるで感じられなくて、数馬の癇癪を誘発しそうになっていた。「こんなものを、人さまが通る公道沿いに植えおって・・」 恥知らずめ . . . 本文を読む
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