どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

思い出の短編小説『悪童狩り』(4)

2022-06-30 01:02:36 | 短編小説
 このベンチに腰を下ろすと、自分の居場所に戻ってきたように、ほっとする。目の前には作り付けのテーブルがあり、四枚の板を並べた粗削りの設置物は、雨風に曝されて灰色に変色していた。 木目だけが磨いたように浮き上がり、ほかの部分はわずかだが侵食されている。数馬は、この木の手触りが大好きだ。ベンチに浅く尻をのせて、板に頬を付けるように身を乗り出す。 テーブルの幅は、彼の左右の腕を伸ばしても三十センチは余る . . . 本文を読む
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