どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

思い出の短編小説『見返り美猫』(1)

2022-08-14 00:10:50 | 短編小説
 ある日軽井沢の新興住宅街をクルマで流していると、一段高くなった植え込みの間に色も毛並みも垢抜けた猫がうずくまっているのを見つけた。 高圧洗浄機や高枝バサミなど、郊外生活に必要な商品を揃えて訪問販売する朝香満男は、運転席の窓を下ろして思わず猫に声を掛けた。「いやあ、あんた美人だねえ」 そっと手を伸ばして触ろうとすると、それとなく体をかわしながらも目を細めるようにしてニャーっと応えた。 その猫は、白 . . . 本文を読む
コメント