どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

思い出の短編小説『枕の下』

2022-09-25 00:57:16 | 短編小説
 静かな庭が広がっていた。 一面の芝生に、月光が降り注いでいた。 正孝は、蚊帳の中から外を透かし見た。 もうすぐ、彼のいる離れに艶子が忍んで来るはずだった。 京都の夏は暑い。 承知で秘書と出かけてきたのは、自然エネルギーの有効利用に関するシンポジウムが、二日間にわたって開かれたからだ。 この夜は、艶子とともに学会の疲れを癒すつもりだった。 めぼしい発表を分類整理したあと、夜をこの老舗旅館で過ごすこ . . . 本文を読む
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