どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

思い出の短編小説『豹のエチュード』(1)

2023-03-08 00:14:00 | 短編小説
 隆也は向かいの10円麻雀と書いてある看板をぼんやり見ていた。  彼の年齢は六十二歳、いわゆる団塊の世代と呼ばれる年代に属していた。  長年勤めた国家公務員を定年退職し、その後ニ年間の外郭団体勤務も先月末で満了となったところだった。  (新宿へ行ってみよう)  何かと厳格さを問われる身分から解放されて、心が軽くなるのを感じていた。  緊張が緩んだこともあり、漠然とした期待に引き寄せられる . . . 本文を読む
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