どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

真夏の怪談 その2 『にかほ市の哲学者』

2024-05-29 05:02:00 | 短編小説
現在はにかほ市になった秋田県の象潟町で重吉は炭焼きを生業にしている。 東京の大学を卒業したあと実家の山を預けられ、ナラ〈楢〉やクヌギ〈橡〉の木を切り倒しては木炭づくりを目指した。 ところが重吉は炭窯に火を入れた後持ち込んだ哲学書を読みふけるものだから、火を止めるタイミングを失い出来上がった木炭はほとんど灰に近い状態になってしまった。 「重吉さんなばダメなもんだ。炭つくってんだか灰つくってんだ . . . 本文を読む
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