「しばらくは花の上なる月夜かな」
関東地方は3月下旬にはサクラの開花予報が出ている。
高めの気温が続けば4月を待たずに満開になる。
千鳥ヶ淵や北の丸公園は例年花見の客でごった返す。
芭蕉の目の前にはサクラだけがある。
今を盛りと咲き誇る桜の花を上空から月が照らしている。
季節的にまだ寒さを感じる夜更け、月光を受けて満開の櫻花が輝いている。
見る者は芭蕉ただ一人。
ワビ-サビの極致である。
桜花が輝いているのは月が上空にある間だけ。
ほんのしばらくの間は我が世の春だが、やがて月が傾けば輝きも失われる。
〈人生の栄華もつかの間のことでいずれ凋落する〉・・芭蕉がそんな感慨を抱いたとは思えないが
自然が織りなす風景は人の心をおのずから無常観に導く。
日本人なら誰もが感じるであろうワビ-サビの文化である。
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