さきち・のひとり旅

旅行記、旅のフォト、つれづれなるままのらくがきなどを掲載します。 古今東西どこへでも、さきち・の気ままなぶらり旅。

土紋で豊盃の宴

2023年09月29日 | 東北シリーズ


弘前の街をぶらついてホテルに戻ってきました。三陸の津波震災後を思い出すような
土地がスカスカだねえ。


さあて豊盃が揃ってて有名な「土紋」に。ホテルの目の前です。ここに来るために
目の前のホテルをとりました。きっとそういうやつも多いのではないか。たまたま
テレビのローカルニュースで、豊盃が秋の品評会で最優秀賞を取ったというではないか。


キャー!!! 順番に何を飲みましょうか~~~! ちなみにメニューはありません。
私は近眼なので、撮影させて頂き、その画像を見て注文です。開店早々に来たので
カウンターにはまだ俺ひとり。


お通しは、いきなり揚げ物の店です。さっそく豊盃に行きたい気もするが、暑い中を
歩き回って喉が渇いているので、まずはビール。高級ワインを買ってきたけれど、
すぐにその日には飲まないでとっておくとか、エロ本や漫画の新刊を買ってきた
けれど、すぐには見ないでまずコーヒーを淹れるとか、そんな感じか?


満を持しての一杯目は「にごり」。これがなかなか飲めないやつだし♪


この店の一番人気の料理は、この「イカメンチ」です。みなさんこれを注文します。
なのでお通しはもっとさっぱりしたものにすべきではないかな?


そしてーーー!!! 純米大吟醸「つるし」だあぁああああ! 

これは「袋吊り(ふくろづり)」とか「雫取り(しずくとり)」とか呼ばれたりする
作り方で、酒を作るときに搾らない。吊るした袋からポタリポタリと自然に落ちてくる
のを溜めるだけ。だから全く雑味がなく、味の透明感がすごい。私は喜多方の
「弥右衛門」でこれを初めて飲んだとき、「まるで水晶を溶かして飲んだよう」と
感動しました。山形の「東光」で飲んだときは涙がにじみました。

もちろんこの手法で作るのには時間と手間暇がかかり、量も限られますので、大変な
お値段になります。高くなりすぎるので、品評会に出すような特別の機会以外には
作らなかったりする蔵も多いとか。 弘前まで来てよかった。。。


「つるし」を飲んでしまったら、次の選択が難しいのだ。なにせストレートに
純米大吟醸やら純米吟醸という高級酒を飲んでも、そりゃあ「落ちる」。普段は
泣いて喜ぶ酒でさえも「下がる」。かといって「つるし」を酔っ払ってから飲むのも
残念だから先に頂いた。そこで、これまたレアな「直汲み生原酒」を注文(^益^)b

「直汲み(じかくみ)」とは、搾った酒をタンクで寝かせることなく、すぐに瓶詰
するやつだ。フレッシュな香りで、舌に刺激を感じる微妙な発泡感。爽やかで、
それでもコクがある。こりゃあ旨いぞー!


つまみには筋子を。しょっぱくてちびちびやるにはとてもいい♪

それにしても、これだけレアもの豊盃がズラリと並んでいる店なのに、あとから来た
小上りのサラリーマン3人組はずっとビールをおかわりしている。そりゃ何を飲む
のも勝手だけれど。。。

俺の横に若いカポーが座り、いきなり「生ふたつ!」とやったら「うちはビンだけ!」
と返されていたが、次に「お酒をください」と注文。「ご覧の通り、こちらの棚から
選んでください。全部豊盃!」とおばちゃん。青年はもじもじする。するとおばちゃんは
「純米吟醸、大吟醸、純米大吟醸と選んでね」と催促すると、「じゅんまい・・・」と
青年はつぶやく。おばちゃんは少しあきれて、適当に純米吟醸を勧めたのでした。

そうこうするうちに、カウンターの反対側にいたおじさんが「日本酒!」と注文。
聞いてなかったのね。。。 御主人と女将さんは、きっとイラっとしてたでせう^^;


だんだん酔っ払ってきて、店の御主人と豊盃談義。作り方、米の種類、季節ものなど
話は尽きない。


日本酒をたくさん飲んだ最後には、米がいいんだよぉ~~♪ 「豊盃が揃ってる店は
東京の荻窪にあって・・・」と話すと、おばちゃんは「〇×でしょ!あそこの御主人は
年に1回、ここに来るのよ!」とよく知っていた。個性的で粋なオヤジさんです。

しかし!その店、コロナになってから客を90分で追い出すシステムにしてしまった。
昼間っからやっている店なので、夜はいつもいっぱいだから静かな昼間に飲むのが
好きだった。長年愛用していたのに、空いてる昼間に「はい90分ですぅ~」という
のはさすがに興ざめ。土紋のおばちゃんにいいつけておきました^^;


「つるし」の横に、見慣れないアートなラベルが気になっていました。お値段は
つるしよりも高い、なんと1合5500円~~~!!! w(⊙.☉)wワオ

聞くと、「GOMA×豊盃華想い30」というブランドだそうで。4合瓶で15000円ほど。
一升なら3マソってか? 「レインボーってのがあったけど・・・」と言うと、
それは豊盃米で、華想い米で限界まで磨いたのがコレだそうです。小さな90ccグラスでも
2750円ナリ。お猪口一杯で1500円くらいか。 ま、いつかね~~~www


と思ったら!!!


おやじさんが「心残りになるとなんだから、味見していけ!」と出してくれました
「少しだけだよ♪」とグラスに半分。きゃい~~~~ん!!!

口にふくみました。。。 さすがに磨きまくった(ちなみに削るのに何か月単位の
時間がかかるのだ)芯の小さな粒だけで作った酒、爽やかな透明感。ううむ、爽やか
すぎるぜ! そう、マネキンというか、AIで作成した何の欠点もない完成型人工美女
という感じか? 何か足りない気が、、、って、個性が足りないんだよ。

おやじさんと女将さんは、俺の感想をじっと待っている。おそるおそる・・・「すごく
爽やかな完成度。でも、直汲みのほうが俺には美味しいかも・・・」と正直に言うと、
おやじさんは「うんうん^^」と同じような感想を持っていたようでした(^益^;

ありがとうございました! (`・ω・´)ゞ