さきち・のひとり旅

旅行記、旅のフォト、つれづれなるままのらくがきなどを掲載します。 古今東西どこへでも、さきち・の気ままなぶらり旅。

至高の恋の永遠化 ~「ギリシャの壺」 2

2015年06月19日 | らくがき
Thou still unravish'd bride of quietness,
       Thou foster-child of silence and slow time,
Sylvan historian, who canst thus express
       A flowery tale more sweetly than our rhyme:

 
いまだ穢されることのない沈黙の花嫁よ
    静寂とゆるやかな時の養い子よ
   森の歴史家、そなたは我々の詩よりもはるかにここちよく
       花の物語を語ることができる


 若きロマン派詩人キーツは、ギリシャの古い甕に見入っています。想像力を持ってすれば、そこに描かれている絵は、どんな美しい詩よりも雄弁に我々に語りかけてくれるというのです。どうやらそこには求愛の場面が描かれているようです。人間の世界か、神々の世界か、ともあれ壷に描かれた恋の法悦状態は、流れゆく時の宿命から自由で、永遠に色褪せることはありません。

Fair youth, beneath the trees, thou canst not leave
      Thy song, nor ever can those trees be bare;
           
Bold Lover, never, never canst thou kiss,
Though winning near the goal yet, do not grieve;
     
She cannot fade, though thou hast not thy bliss,
           
For ever wilt thou love, and she be fair!

 美しい若者よ、木々の下で、そなたは歌を止めることはない
  そしてその木々も、決して葉を散らすことはない
   奔放な恋人よ、そなたは決して口づけることはできないのだ
 乙女の唇は奪えそうでも、それでも悲しむことはない
  彼女は色褪せることはないのだ そなたも至福を得ることはできないが
   そなたは永遠に愛し続け、彼女は永遠に美しい!


 よく考えれば、絵の中の世界が完璧な幸福というわけではなく、美しい若者は乙女の唇を勝ち取ることに成功しようとしていますが、逆に言えば、二人の唇が合わさることは、決してありません。これを詩人は「冷たい牧歌」と呼び、高揚した憧れの感情と同時に、冷たい壷を目の前にした現実を忘れてはいないのです。
 新たな情熱が燃え上がる瞬間こそが恋の真髄のひとつであるならば、それは方向性をもった動的なプロセスです。その意味において冷たく固定した永遠性、不死とは相容れません。恋のプロセス、惹かれ、近づき、自分の思いが相手に伝わり、相手も同じように自分を求めてくれるという感情を確認したときの喜び、そして時と論理を超越して二人の世界へ飛び立つ過程は、いずれ必然的に転換期を迎えることになります。恋愛感情は日常生活に埋没すると高揚感は薄れ、多かれ少なかれ、必ず「倦怠」、「幻滅」や「挫折」を伴います。それが「後悔」や「嫌悪」につながると、「忍耐」か「諦念」、もしくは「逃避(願望)」の道へ向かうでしょう。そうならないようには、「寛容」や「尊重」を用いて「共生」への長い道のりしか残されていないのです。
 このように見ると、なんだかとても悲しい現実ですね。だからこそ、詩人はその至高の瞬間を捉えようとする。一瞬のためでさえも、人間は生きる価値がある。そこに詰まっている「可能性」を見ることに、生の意味に触れる本質があると考えるからなのです。


聞こえない音楽 ~ジョン・キーツと想像力 1

2015年06月16日 | らくがき

                       

Heard melodies are sweet, but those unheard
       Are sweeter; therefore, ye soft pipes, play on;
Not to the sensual ear, but, more endear'd,
    Pipe to the spirit ditties of no tone

聞こえる音楽は甘美なもの、しかし聞こえない音楽は
さらに甘美なものだ。だからそなた、やさしき音色の笛よ、奏でよ
感覚の耳にではなく、なおも親しき心の耳に
無声の歌を、精神に向かって吹き奏でよ

                         「ギリシャの壺のオード」(1819)より


 英国のロマン派詩人ジョン・キーツは、古代ギリシャの壷を見つめて思いに耽っています。壷の表面には絵が描かれており、そこには名も知れぬ人物が笛を奏でていますが、その音は現実に聞こえることはありません。しかしはるか遠い古代ギリシャに想いをはせ、この壷を作った芸術家と、その絵にこめられた精神を共有するとき、キーツの心の中には、この世のどんな美しい音色よりも、はるかに甘美な音楽が鳴り響く。この音楽を聴くためには、我々はロマン派詩人たちがもっとも大切にした、「想像力」という切符を手にしなければならないのです。

 どんな笛の音なんでしょう?ここで私が思い出すのは、古代ギリシャの詩人、ホメロスの「オデュッセウス」に出てくるエピソードです。

 トロイア戦争に勝利して、オデュッセウスは故国に向かって船を進めていました。航海の途中では、海の怪物セイレーンが待ち受けていました。そいつは上半身が人間の女性で、下半身が鳥の姿をしており、航路上の岩礁から美しい歌声で船乗りたちを誘惑し、それを聞くと船は難破してしまうという恐ろしいやつなのです。

 オデュッセウスはその歌声を聴いてみたかったので、部下たちの耳には蝋をつめて聞こえないようにし、自分はマストにしばりつけさせて、自分がなんと言っても縄をほどかずに船を進めろ、と指示を出したのです。

     おれもきいてみたひ…w(゜゜)w
 
 そりゃもちろん現実に聞くことはできないですけれど、ひきこまれて正気でなくなってしまうような音楽、あるって頭の中で想像することはできますよね。


 無限である想像力は、われわれのこころのなかに、聞いたこともないような甘美な音を鳴り響かせることができます。現実界にはない想像の世界。でもそれってただの幻想? いえいえ、「ギリシャの壺」の最後はこのようにしめくくられます。

   "Beauty is truth, truth beauty,—that is all
   
Ye know on earth, and all ye need to know."

 美は真実であり、真実なるものは美である
  この世で人が知ることができるのはそれだけであり、
  知る必要があるのもそれだけなのである


*「セイレーン」という言葉、英語では「サイレン」になりましたw うっとりしてひきこまれるどころか、逃げ出したくなりますね。そしてフランス語では「シレーヌ」です。「デビルマン」に出てくる上半身が女で下半身が鳥というデーモンです。


イケメンの語源やいかに

2015年06月09日 | 

                       

ジゴンダスは南仏を代表する葡萄グルナッシュ、カロンはエレガントの一語につきるカベルネ・ソーヴィニョン、両方ともあっさりなくなったので、とっておいたシャトー・ド・ロックフォールも開けてしまう。こちらはサンテミリオンのグラン・クリュで、葡萄はカベルネ・フランとメルローのブレンド。さっきの2本とはまた違う柔らかなコクと香り。

次々に違う種類を飲めるって、やっぱりワインは人を呼ぶと楽しい。それって中華料理と同じですよねえ。大勢でズラリと並んだ料理を次々に味わえる幸せ。


さてさて、前回ムキムキ筋肉を目指す初老の「結婚したいおじさん」を話題にしましたが、いったい「もてるためにはどうしたらいいのか」を考えてみました。ちなみに男女の好みは千差万別。これといった答えがあるわけではなく、あくまで確率を上げる程度の話になります。

まずは「金でしょ」という声が聞こえてきそう。深夜に好きな「ジェット・ストリーム」を聞いていたら、大沢たかおのナレーションで、「イギリス人女性による魅かれる男性の条件」を紹介していました。

「豪邸に住んでいる」だとか、「高級スポーツカーに乗っている」というのは、「魅かれる」が10%にも届きません。驚く高さを示したのが、「犬を連れている」で、50%ほどであったとか。確率論で言えば、金持ちというのは人柄がわかりませんが、犬をかわいがっていればやさしい人かもしれない、ということでしょうか。

それで思い出したのが「イケメン」の定義です。とあるアンケート結果によると、男は圧倒的に「顔がイイ」と答えるのに対して、女は「やさしい」とか「気配りができる」といったように、内面的な要素を重視しているということ。

はて、私も多くの男たちと同じように、「イケメン」の意味は、いけてる「面」(つまり顔)だとばかり思っていたのですが、もしやイケてる「men」なの?確かに「イクメン」(育児をする男性)というヴァリエーションがあることを考えてみると、後者のほうが正しい語源なのかもしれない。

           

もてるために筋肉をつけようとトレーニングに励んでいるおじーさん、それはそれで結構なんですが、確率を上げるためにはあまり効果はなさそう。私が思うには、せっせとつけまつげやら香水をつけている女性と変わらないような気がします。

「自分だったらどういう相手がいい?」から出発して、次に「相手はどんなことを求めているのだろうか」に至る想像力が必要なのでしょう。しかしもしかして、おじーさん、まずひきしまったウエストと豊かな胸なんかがお望みなのかしら(^益^;


つけまつげと筋肉マッチョは自己満足なのかぃ

2015年06月06日 | 

        

友人夫婦が遊びに来ました。奥様はこってり系のワインが好みなので、南仏のジゴンダスを用意しました。ブラックベリーや木苺のような濃い果実の香りと、ほんのり胡椒や焦がしたトーストのようなスパイシーさがあり、凝縮された香りが胸の中に広がってゆきます。

さらにサン・エステフのマルキ・ド・カロン。ボルドーのカベルネ・ソーヴィニョンは、実にエレガント。スミレの花のような香りがあり、さらにビターチョコレートやミントのニュアンスも混ざった、上品な仕上がり。こちらは旦那さんのほうの好みです。

奥様はラテン系や黒人など、「濃い」男が好みなので、ワインの趣味とも一致しているようです。さてその奥様、先日化粧好きの娘の指導を受けて、自宅でつけまつげをやってみたそうです。

よしゃあいいのに、酔った勢いで私が異論。

なんだかカラスの羽根をパタパタやっているようなつけまつげをしているお嬢さん方がいるけれど、男性陣にそれがいいと思うかどうか聞いてごらんな。ほとんどが「全然いいとは思わない」と答えると思うよ。

ええ?! でも、美しいことはいいことじゃないの?

その美しいかどうかが、場合によっては自己満足だけなんです。例えば、ムキムキマッチョな男が鏡を見てポーズをとっている姿なんて、自分では美しいと思ってはいても、多くの女性はアホらしい、と思うんじゃないかなあ。鏡に向かってのつけまつげと、同じじゃない?

よけいなことを言いました。。。 別に化粧は男のためにやるわけではなく、自己満足のためにやっていればいいわけで、「男がどう思うか」なんて、大きなお世話なのです。「男の気を引くためにはどういう化粧がいいかしら」と質問されたときにだけ、自分が思うことを答えればいいわけで。

            

さてこのあいだの「クローズアップ現代」で、高齢化社会の結婚事情について特集していました。登場した初老の男性が「まだまだ若い女性と結婚するぞー」と、体を鍛えている姿が映されたのです。なにやら部屋のなかで腹筋や腕立て伏せに精を出し、「ほらほら」と自慢げに二の腕をまくり上げて、必死にちからコブを出して見せている。

             

NHKさんは、よくこういう意地悪な、いや残酷なさらし者をやるんですよね~。いい年こいて、ケッコンしたいはいいけれど、しなびた腕に筋肉が浮き出ればもてるかもしれないと、哀れな勘違いしているところを記録にも残る全国放送。ううう。。。

ではそのオッサン、どうすればいいのだろうかは次回に考えます。


小田原城 12

2015年06月04日 | 関東甲信越



さて小田原城です。とりあえず天守閣に上る。休日なので観光客が多い(゜益゜)w



東伊豆方面。天気に恵まれましたー。



初島。



小田原駅。向こうに見えるは丹沢方面。



西は箱根です。富士山はその向こう側だから見えません~。



静岡土産です。うなぎパイは進化していて、「V.S.O.P」という新作がありました。
たしかにブランデーの香り。しかし値段は高いぞ。

静岡の「わさびカレー」はわかりますが、なぜに清水港の「もつカレー」?

「紅ほっぺ」1パック268円って安いでしょ^^
これは小田原駅近くのスーパーで、熟しちゃっているやつだから値引き品だったの
です(=゜益゜):;*.’:; 静岡駅、駅ビルの土産屋さんではブランドいちごが安く売って
いましたが、何せそれから小田原を歩く予定だったから、持ち歩く気になれなかった
のです。

ブランドいちごも、1パック1000円なんてのがデパートで売っているね~。
「ちと高いな」なんて思いながら、居酒屋では1合1000円の酒を何杯も飲むん
だから、我ながら考えてしまうものあり。。。