犬から出る水蒸気・・・不思議というより不明な作品である。第一、犬の存在が分からない。台座の上の泡の集合体のようなものが犬なのだろうか、ひどく抽象的に過ぎて形を明確に指摘することが困難である。
犬、つまり有機体が発する息(空気)の循環を言っているのかもしれない。
水蒸気は水が蒸発して気体になったものであり、「犬から出た気体の形はこのようである」と提示している。
水が水蒸気になるには相応の熱エネルギーが不可欠である。犬(生命体)から出るエネルギー量と換言出来るのではないか、生命体が発するエネルギーを相対的に可視状態に変換した作品かもしれない。
つまり、周りの空気(空間)を圧して噴出した泡の集合体のような形は、犬(生命体)が生存するための循環エネルギーに等しいということではないか。空想かつ曖昧ではあるが、(可視を可能とするならば)ということである。
指の跡がある、これは正しく圧力を示唆し、その下の方に見える持ち手のついた物(ハンドル)は、押し上げる機能あるいは圧を調整するものではないか。(温度・圧力・密度が基底の限界を超える、あるいは以下になれば水蒸気は相を変えざるを得ない)
台座(地面/大地/地球)に存在する犬(生命体)のエネルギーの循環、熱量を測った不思議な物体は、鑑賞者を思考の迷路に誘う。
しかし、一巡りすると、大きく肯き感服せざるを得ない、繊細な作品であることに気付かされるからである。
(写真は神奈川県立近代美術館/葉山『若林奮 飛葉と振動』展・図録より)
犬、つまり有機体が発する息(空気)の循環を言っているのかもしれない。
水蒸気は水が蒸発して気体になったものであり、「犬から出た気体の形はこのようである」と提示している。
水が水蒸気になるには相応の熱エネルギーが不可欠である。犬(生命体)から出るエネルギー量と換言出来るのではないか、生命体が発するエネルギーを相対的に可視状態に変換した作品かもしれない。
つまり、周りの空気(空間)を圧して噴出した泡の集合体のような形は、犬(生命体)が生存するための循環エネルギーに等しいということではないか。空想かつ曖昧ではあるが、(可視を可能とするならば)ということである。
指の跡がある、これは正しく圧力を示唆し、その下の方に見える持ち手のついた物(ハンドル)は、押し上げる機能あるいは圧を調整するものではないか。(温度・圧力・密度が基底の限界を超える、あるいは以下になれば水蒸気は相を変えざるを得ない)
台座(地面/大地/地球)に存在する犬(生命体)のエネルギーの循環、熱量を測った不思議な物体は、鑑賞者を思考の迷路に誘う。
しかし、一巡りすると、大きく肯き感服せざるを得ない、繊細な作品であることに気付かされるからである。
(写真は神奈川県立近代美術館/葉山『若林奮 飛葉と振動』展・図録より)