続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

若林奮『犬から出る水蒸気』

2015-09-01 06:58:08 | 美術ノート
 犬から出る水蒸気・・・不思議というより不明な作品である。第一、犬の存在が分からない。台座の上の泡の集合体のようなものが犬なのだろうか、ひどく抽象的に過ぎて形を明確に指摘することが困難である。

 犬、つまり有機体が発する息(空気)の循環を言っているのかもしれない。
 水蒸気は水が蒸発して気体になったものであり、「犬から出た気体の形はこのようである」と提示している。
 水が水蒸気になるには相応の熱エネルギーが不可欠である。犬(生命体)から出るエネルギー量と換言出来るのではないか、生命体が発するエネルギーを相対的に可視状態に変換した作品かもしれない。

 つまり、周りの空気(空間)を圧して噴出した泡の集合体のような形は、犬(生命体)が生存するための循環エネルギーに等しいということではないか。空想かつ曖昧ではあるが、(可視を可能とするならば)ということである。

 指の跡がある、これは正しく圧力を示唆し、その下の方に見える持ち手のついた物(ハンドル)は、押し上げる機能あるいは圧を調整するものではないか。(温度・圧力・密度が基底の限界を超える、あるいは以下になれば水蒸気は相を変えざるを得ない)

 台座(地面/大地/地球)に存在する犬(生命体)のエネルギーの循環、熱量を測った不思議な物体は、鑑賞者を思考の迷路に誘う。
 しかし、一巡りすると、大きく肯き感服せざるを得ない、繊細な作品であることに気付かされるからである。


(写真は神奈川県立近代美術館/葉山『若林奮 飛葉と振動』展・図録より)

『銀河鉄道の夜』65。

2015-09-01 06:28:07 | 宮沢賢治
とジョバンニは思ひながら、大股にその街燈の下を通り過ぎたとき、いきなりひるまのザネリが、新しいえりの尖ったシャツを着て電燈の向ふ側の暗い小路から出て来て、ひらっとジョバンニとすれちがひました。


☆詞(ことば)No題(中心思想)は己(わたくし)の我意である。
 套(おおって)解(バラバラにする)と、二つの果(結末)がある。
 真(正しいかどうかを明らかにし)閃(ひらめき)を惹(ひきつける)。
 伝える等(平等)の考えは、即ち案(下書き)の章(文章)の路(みちすじ)を推しはかる記である。

『城』2070。

2015-09-01 06:01:54 | カフカ覚書
これにたいして、アマーリアは、オルガは知りませんわ、もし知ったら、オルガはとても不幸になるでしょう、というのは、オルガはあなたに恋をしているようなのです、とてもつつしみぶかい質だから、あからさまに口に出したりはしませんが、恋というものは、知らずにいても外にあらわれるものですわ、と請けあうように言った。


☆これにたいしてアマーリア(作り話/マリア)は、オルガ(機関/仲介者)は知りません。もし知ったらオルガは預言を失敗してしまうでしょう。というのはおるがはあなたを愛しているようなのです。口に出したりしませんが愛というものはいつの間にか洩れ知られるものです。