続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

若林奮『Ⅰ-4-2 LIVRE OBJET 後からの試作1』

2015-09-07 07:04:20 | 美術ノート
 幾つもの角材が同じ長さに揃えられ積み重なっている。
 それを乗せた台(地)は浮いているようである。
 それらは縛り付けられ重しと調節ハンドルが上部に乗っているという作品である。


 一見して地球(世界)のようでもあるし、個人的な内的世界のようでもある。
 万有引力と地球の自転による遠心力との合力の図である一面を有した存在論的な作品であると言える。

 社会論理(規格)の中で生きる人の苦悩(重し/圧力)、他者の力(ハンドル)そして束縛(巻きつけられた線状は通信を暗示しているかもしれない)。自由を暗示しているような穴(風穴)、しかし同一箇所に開けられているということは教育(観念)を想起させる。
 これほどの圧力に対抗して浮力を見せているのは単に自然の理なのか、希望なのかは分からない。

 全体を見回すと、やっぱり、動かざること山の如しといった風景である。

 しかし、作家は(動いている)と感じている。
 重圧の中で微かな振動を見せる浮力は見逃せない。眺める風景はやがて個の中の風景と化す。
 重力と遠心力、束縛と解放…わたし達は常に混在の中で生きている。


(写真は神奈川県立近代美術館/葉山『若林奮 飛葉と振動』展・図録より)

『城』2076。

2015-09-07 06:23:30 | カフカ覚書
彼女は、いつその娘さんとお知り合いになりましたの、だって、あなたがこの村へいらっしゃってから、やっと数日にしかならないんですもの、とだけたずねた。


☆彼女は、いつその作り事を知ったんですか、あなたがこの来世に来てからまだ数日しか経っていないのに。