この時期の仕事といったら、まず梅漬けの準備、梅酒、紫蘇ジュース、ラッキョウの塩漬け・・・。
で、準備を始めるとわかるのだけれど、梅干しも梅酒も去年作って戸棚に収めたまま。(今年作る必要があったのだろうか)
「わたし今年は十三キロも梅を漬けたわ。Aさんなんか三十キロも漬けたそうよ。」明るい声の会話、もうあれから二十年も経つのだろうか。Aさんは亡くなってしまったし、彼女も病気がちのこの頃、梅の話など会話に上らないかもしれない。
かく言うわたし、梅干し用は二キロ、梅酒は一キロ、紫蘇ジュースは二束、ラッキョウは一キロという状況。
どんどん寂しくなる、そうして来年は、もう作らないかもしれない。
季節からも見放されていくのだろうか。
『黒い旗』
明るさのない画面、単色である。遥かな地平をめがけて飛んでいる飛行物体。
一見すると、飛行機のようである。しかし、よく見ると日常的な物の部品を組み合わせた(のような物)であることに気づく。
つまり、本来、飛ぶ機能を持たない物である。それが、どこかへ向かうという暗い予兆。
それぞれの飛行物体は球あるいは円を掲げている。つまり、真理を抱いているということであり止む無く何らかの力で動かされているという不本意が見える。
落下を余儀なくされるような不安定な器物での造作には強い攻撃力は感じられない。それでも行かざるを得ない世情の空気。
ガラクタ、非合法の暴力・・・。
地平にははるかに続く道が薄っすら見える、この道はどこへ続くのだろうか。夜明けの光に向かっていることを望むが、真偽は分からない。
『黒い旗』は、この空気感に対する否定の旗(徴、判定)ではないか。
(写真は『マグリット』西村書店刊より)
「えゝ三十疋ぐらいはたしかに居たわ。ハーブのやうに聞こえたのはみんな孔雀よ。」女の子が答へました。
☆太陽の重(はなはだしい)悲喜、巨きな分(身の程・地位)は、考えを惹きつける。
叙べる詞(言葉)に統(おさめている)。
しかし、いちばん不必要でたやすいこと、つまり、足にぶかぶかの大きなスリッパからぬぎにかかったのだけれども、どうしてもぬぐことができない。それで息をぜいぜい切らせてまもなくこの試みをあきらめて、四肢をこわばらせたままもとの椅子にもたれこんでしまった。
☆にもかかわらず不必要な世界として攻撃し、威圧的な彼の立場で彼女を探し回り、巧妙にもうまくいくように願うことはなかった。そして、屈託ないようすで現れた彼は、再び立場を強固なものにした。