『発見』
裸婦の身体に年輪も露わな木目がついている。裸婦が木目(木の彫像)に変容しつつあるのか、木目(木の彫像)が生身の裸体に変容しているのかは不明であるが、互いに侵食し合っている関係である。
生身の肉体が生命を断ち切られた木材に化していく・・・つまり物言えぬ死の領域に入っていくということである。
なぜ、年輪露わな木目へと変身していくのか。木目は歳月であり、過去であり、時間を止められたものである。そして朽ちていくしかない不可逆をたどるものでもある。
生成不可、未来を阻まれたものの過去のデータが木目(年輪)であれば、生命を絶たれた女体に等しい。
黒髪・赤い唇・濡れた瞳・成熟の女体は、すでに木化しつつあり、木への変容は止められない。すなわち《死》の暗示にほかならない。
『発見』は『哀悼・惜別』の葬送である。発見とは死を認可した衝撃の鼓動であり、生命の終わりを胸に刻んだ自分自身を発見したということではないか。
マグリットの作品は母の死が原点であり、過去・現在・未来の時空、究極、絶対の真理への問いが論点であると思う。
(写真は『マグリット』西村書店刊より)
そして車の中はしぃんとなりました。ジョバンニはもう頭を引っ込めたかったのですけれども明るいとこへ顔を出すのがつらかったのでだまってこらへてそのまゝ立って口笛を吹いてゐました。
☆赦(罪や過ちを許す)や、誅(罪を責め咎める)は套(おおって)隠している。
己(わたくし)は冥(死の世界)の願いを推しはかり、律(物事の基準となるもの)の考えに適(あてはまるもの)を遂(なしている)。
「そうじゃありませんね、オルガ。あんたがどうしてフリーダをこの問題に引きずりこむのか、ぼくにはわからない。だって、問題は、まったく違っているんだから。根本的に違ったことをごっちゃにしたりしないで、どうか話をつづけてください」
☆「いいえ、オルガ」とKは言い、「わたしはなぜフリーダがこの事件に引きずり込まれるのか知っている、しかし、事情は全く違う。全く違うということを乱雑に混ぜたりしないで話を続けて下さい」