続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

吉川宏志(私的解釈)円形の。

2022-01-20 07:28:06 | 吉川宏志

 円形の和紙に貼りつく赤きひれ掬われしのち金魚は濡れる

 円形、和紙、赤、金魚、どれも美しいものを連想させる。明るく綺麗、いかにも日本の風情が漂う光景といった感であり、掬われしのち、なども(救われし)の語感が浮かぶほど。
 美しい響き、情緒風情のしっとりとした光景がただよう。

 しかし、金子みすゞの詩(大漁)を思い浮かべるまでもなく、ここには金魚にとって悲惨かつ厳しい喘ぎがあると言っている。金魚は濡れる、水の中では生き生きと泳ぐ金魚も相を違えた円形の和紙に貼りついては瀕死、金魚は泪していると歌っているのである。

 何とも言えない調べの美しさ・緊張感・リズムの中に静かに漏れる命を問う血の叫び。この矛盾は見える人にしか見えない。


『飯島晴子』(私的解釈)ひつそりと。

2022-01-20 07:07:44 | 飯島晴子

   ひつそりと氷細工を卑しむや

 氷細工はヒョウ・サイ・クと読んで、表、採、句。
 卑しむはヒと読んで、批。
☆表(おもてに現れたもの)を採(選び取り)句の批(品定め)をする。

 氷細工はヒョウ・サイ・クと読んで、雹、災、懼。
 卑しむはヒと読んで、被。
☆雹は災(自然が引き起こす不幸な出来事)であり、懼(恐れ)を被(こうむる)。

 氷細工はヒョウ・サイ・クと読んで、評、宰、苦。
 卑しむはヒと読んで、否。
☆評(品定め)を宰(つかさどる)苦(つとめ)を否(拒む)。

 氷細工はヒョウ・サイ・クと読んで、表、哉、句。
 卑しむはヒと読んで、碑。
☆ひっそりとした表(目印)哉(かな)。
 句碑である。


M『応用弁証法』

2022-01-20 06:47:03 | 美術ノート

   『応用弁証法』

 一枚の絵の中に二つに区切られたことなる情景が描かれている。
 左はこれから戦争に向かうという軍隊・戦機の集合であり、右は闘い破れ、戦禍に財を失っての帰還である。

 左右は始まりであり終結である。そのように見えるが、歴史は繰り返されるから、始まりも終わりも一つに括られてしかるべき事象でもある。

 戦争の対義語は平和である。しかし、平和はこの絵の範疇からは見えない。この絵を客観視している鑑賞者の側に平和という概念が定着していることを画家は想定したに違いない。
 平和(勝利)はこの絵に見る戦争と敗退の上に成立する危うい構図の中にあるのだと。

 写真は『マグリット』展・図録より


賢治『雨ニモマケズ』2.

2022-01-20 06:29:22 | 宮沢賢治

 イツモシヅカニワラツテヰル
 一日ニ玄米四合ト

 一日はイツ・ジツと読んで、逸、実。
 玄米はゲン・マイと読んで、現、邁。
 四合はシ・ゴウと読んで、死、劫。

☆逸(隠れている)化(教え導くこと)が現れる。
 邁(止まらずに遠くに進んでゆく)死の劫(きわめて長い時間)がある。