1-4-p2(地表面の耐久性について)
地面の上に設置された金属板、鋲のようなものが打ち付けられている。トンネル状に続く半円形の突起、それを抑えるかの直方体の突起、前後にはそれらを内包した突起・・・。
この作品の前に立つと、自分が巨人になったような不思議な感覚に襲われる。世界を俯瞰するような極めて工業的な殺伐とした光景である。地表といいながら有機物(生物)がなく、全体無機的な冷たい乾いた空気感に覆われている。
しかし、耐久性とある。
耐久性、どんなに地下深く堀りさげ抑えても地表面の平安を維持できるものだろうか。地表面に打ち付けた鋲は頑強に見えても大地(地球を覆う地表面)の変動に太刀打ちできないのではないか。
大地(地球)と人智(人間)の拮抗、その可能性は低く脆いものではないか。
この作品の頑強さを眺めながら、むしろ人間のひ弱さを感じてしまうのはなぜだろう。
「人とは何か」
この作品の時空を徘徊する小さな蟻の連帯、否、もう見えないほどの卑小さにしか感じえず、鑑賞者は巨人の傲慢さから風に飛ぶ微塵へと変貌を余儀なくされる感覚に襲われるのである。
写真は若林奮『飛葉と振動』展より 神奈川県立近代美術館