WSJ紙電子版(3/26)元米財務長官、LawrenceH.Summers氏の3月24日開催のインド連銀での 講演録を紹介している。
サマーズ氏は15年前始めてインドを訪問し、二度目に訪れた6年前と比べてインドが金融システム、教育、ヘルスケア全てにおいて様変わりに良くなっていることに驚きを表し、インドと米国との信頼関係が今後益々深まるだろうと冒頭に挨拶している。
サマーズ演説の本題は世界の金の流れが開発途上国に異常に集まり、それが米国へ流れ込む形で米国の経常赤字が生まれている。しかし、これは極めて危険な状態である。
2005年の世界のお金は、①中国が1,400億ドル、その他アジアの開発途上国が680億ドル、②石油輸出国が3,280億ドル、③日本が1,500億ドルとユーロ240億ドル,④その他920億ドル合計9,020億ドルあり、このうち8,050億ドルが米国へ流れている。かってお金は米国から世界へ流れていた。今それが逆転した。
こんな異常な状態が長続きするはずがないとサマーズ氏は断じる。しかし現実問題として、世界景気の拡大を持続させながら米国の赤字を止めることが出来るのだろうか。G7もIMFも問題解決に全く機能していない。開発途上国を入れたG20での討議が求められる。
米国の赤字は1991年のゼロから2005年の8,000億ドルまで一貫して拡大を続けている。止る気配がない。米国の赤字はGDPの7%に達した。異常な現象はここ5~6年の間に特に進んだ。
開発途上国にたまった保有外貨は、中国7,240億ドル(対GDPで41%余剰)、台湾2,100億ドル(同69%)、韓国1,360億ドル(同18%)、ロシア1,180億ドル(同20%)、インド1,077億ドル(15%)、アレーシア586億ドル(50%)、
アルジエリア505億ドル(同60%)、メキシコ470億ドル(7%)、タイ354億ドル(21%)、サウジアラビア738億ドル(同29%)となかでも中国が突出している。
8,000億ドルの赤字国が低金利を維持できるのは世界の余剰マネーによる債券買いにほかならない。低い金利で米国が世界の製品を買い続ける結果、世界の金融パニックはかろうじて回避されているに過ぎないとサマーズ氏は指摘した。
異常なまでの世界的な資金の偏在(ゆがみ)は今後の世界経済にとって大変なリスクであることに鈍感であってはならないとサマーズ氏は警告したかったに違いない。(了)
江嵜企画代表・Ken
サマーズ氏は15年前始めてインドを訪問し、二度目に訪れた6年前と比べてインドが金融システム、教育、ヘルスケア全てにおいて様変わりに良くなっていることに驚きを表し、インドと米国との信頼関係が今後益々深まるだろうと冒頭に挨拶している。
サマーズ演説の本題は世界の金の流れが開発途上国に異常に集まり、それが米国へ流れ込む形で米国の経常赤字が生まれている。しかし、これは極めて危険な状態である。
2005年の世界のお金は、①中国が1,400億ドル、その他アジアの開発途上国が680億ドル、②石油輸出国が3,280億ドル、③日本が1,500億ドルとユーロ240億ドル,④その他920億ドル合計9,020億ドルあり、このうち8,050億ドルが米国へ流れている。かってお金は米国から世界へ流れていた。今それが逆転した。
こんな異常な状態が長続きするはずがないとサマーズ氏は断じる。しかし現実問題として、世界景気の拡大を持続させながら米国の赤字を止めることが出来るのだろうか。G7もIMFも問題解決に全く機能していない。開発途上国を入れたG20での討議が求められる。
米国の赤字は1991年のゼロから2005年の8,000億ドルまで一貫して拡大を続けている。止る気配がない。米国の赤字はGDPの7%に達した。異常な現象はここ5~6年の間に特に進んだ。
開発途上国にたまった保有外貨は、中国7,240億ドル(対GDPで41%余剰)、台湾2,100億ドル(同69%)、韓国1,360億ドル(同18%)、ロシア1,180億ドル(同20%)、インド1,077億ドル(15%)、アレーシア586億ドル(50%)、
アルジエリア505億ドル(同60%)、メキシコ470億ドル(7%)、タイ354億ドル(21%)、サウジアラビア738億ドル(同29%)となかでも中国が突出している。
8,000億ドルの赤字国が低金利を維持できるのは世界の余剰マネーによる債券買いにほかならない。低い金利で米国が世界の製品を買い続ける結果、世界の金融パニックはかろうじて回避されているに過ぎないとサマーズ氏は指摘した。
異常なまでの世界的な資金の偏在(ゆがみ)は今後の世界経済にとって大変なリスクであることに鈍感であってはならないとサマーズ氏は警告したかったに違いない。(了)
江嵜企画代表・Ken