ハリックの診断即治療&虹彩と、Kenさんの経済学&スケッチ

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FW: 米利上げ継続示唆、NYダウ95ドル下げるー学校で教えてくれない経済学

2006-03-29 10:03:27 | 経済学
3月28日、米FRB議長、バーナンキ氏は、議長として同氏はじめてとなる米FOMC(公開市場委員会)の会合で短期の目標金利であるFFレートを0.25%上げ年4.75%とすることを出席メンバー11名全員賛成で決めた。同時に発表された声明文が再利上げを示唆したとしてNYダウは95ドル値下がりし11,154ドルで取引を終了した。

今回の0.25%の利上げは予測どおりとして驚きはないとするエコノミストは多い。ただ、声明文の中でエネルギー価格の上昇と雇用堅調を指摘して再利上げを示唆したが、2月の米新規住宅着工件数が10%下落したことに言及していないことからさらなる利上げは景気スローダウン、場合によってはハードランディングの可能性もあると引き締めがオーバーシュートする危険性を一部のアナリストは指摘している。

5月10日に予定されている次回FOMCで16回目となる0.25%上げを実現し、17回目は年5.0%で利上げ打ち止めと見るエコノミストは多いようだ。ただ、4月18日発表される今回のFOMCの議事録を今一度読んでみてからの話になるだろうとWSJ紙記者、Greg IP氏は指摘している。

NY原油先物(WTI)相場が、後65ドル台へ下げたが、バレル66ドルまで値上がりしたことも投資家にインフレ懸念を再認識させ,株式市場での嫌気売りを誘ったようだとWSJ紙電子版(3/28)は紹介している。

原油相場は、衰えを見せない中国からの強い需要、一方供給不安を煽る事情としては、ナイジエリアでの生産現場でのストライキ、核問題をめぐるイランとの交渉が欧米対ロシア・中国との間で思うように進まないことが原油相場の根強い先高感の背景にあるようだ。

米消費者信頼感を示す指標のひとつであるConference Bord指数が予測の102を大きく越えて107.2と発表されたことも再利上げの思惑を掻き立てているかもしれない。

世界的な金余り現象を背景に堅調を続けて来た世界の株式市場であるが、ここへ来て中東の株式市場が値下がりし、ロシア、ブラジル市場などエマージング市場も調整色を強めていると伝えられる。短期金利の急上昇でヘッヂファンドが早手仕舞いをしたためだろう。

株価を冷やすには刃物は要らぬ。利上げは青菜に塩と昔から相場は決まっている。

昔から孫が生まれると庭木を植えて年寄りは孫の誕生を祝い成長を楽しみにした習慣がある。これという銘柄を企業家とともにじっくり育てていくのが株式投資の本義であろう。長期投資の本義を忘れ、欲ぼけした目先だけの売り買いは用心した方がよさそうだ。(了)

江嵜企画代表・Ken


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原子力発電は万能薬でない:フランスの悩みー学校で教えてくれない経済学

2006-03-29 01:03:51 | 経済学
WSJ紙電子版(3/28),Jeffrey Ball記者はフランスが現在直面している原子力発電問題をレポートしている。

国際エネルギー機関によれば、原子力の消費電力依存率は、2003年ベースで、フランス78%、ドイツ28%、日本23%、英国22%、米国19%、ロシア16%、カナダ13%、イタリア0%とフランスが突出していることがわかる。

米国のブッシュ大統領は2006年の年頭教書で原子力発電見直しを発表し、エネルギー問題で窮地に立たされている中国もフランス政府のエネルギー政策に大いなる関心を示しているようだ。

しかし、それがフランスにとって万能薬かというとそうでもない。フランス政府は原子力産業に推定1,200億ドルを出費している。散発的とはいえ放射能漏れ事件への対応や特に9:11テロ事件以後、常に原子炉がテロ攻撃の脅威にさらされ心配は尽きない。

フランスでは、電力消費では原子力のウエートは78%であるが、エネルギー消費全体から見れば原子力は20%に過ぎず、原油の依存度は49%を占め、しかも乗用車やトラックの利用者が増え、原油輸入は増え続けている。原子力は全てでないことを露呈している。

フランスが原子力に傾斜した背景には①1956年、エジプトがスエズ運河を閉鎖した結果、中東からの原油輸入が止まった,②1973年、アラブ諸国がフランス向け原油を輸出禁止したことを受けて、当時の政府は国民を説得して6つの原子力発電所を建設した経緯がある。

その一方で、フランスは核廃棄物の一括処理を引き受けている。『フランスは世界の灰皿の役割を果たす必要などない』とグリーンピースに代表される平和グループの攻撃にさらされている。あるフランスの大学が、原子力発電所近くの海岸で海水浴をする子供は他の場所より白血病患者が多いと発表した。しかし、フランス政府はそれが放射能や施設から流れ出る化学物質によるものかどうか因果関係を証明できないと結論付けた。

EUはエネルギー元の多角化をテーマに太陽エネルギーや風力発電に力をいれることを目標にしている。ところがフランスは原子力に傾斜したために、太陽エネルギーや風力発電に技術的に大いに遅れをとっている。風車の傍に住むある主婦はやかましくて気が狂いそうで耐えられないと話している。

日本人にとってもフランスの話は他人事で済まされないが、関心は全く薄いようだ。(了)

江嵜企画代表・Ken


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