Bernanke米FRB議長のインフレ懸念発言をうけて、6月5日のNY株式市場はダウ平均(-1.8%)、ハイテク株のナスダック(-2.2%)、小型株ラッセル(-3.2%)軒並み急落した。原油相場の上昇、ISM米非製造業指数が景気鈍化を示唆したことも嫌気売りを加速したと見られている。
ワシントンDCで開かれている国際金融会議(International Monetary Conference)において、バーナンキ議長は、コアインフレ率は上限もしくはその域を超えていると発言した。バーナンキ発言のあと、6月29日に予定されている次回FOMCの会合で、0.25%幅の利上げ継続かもしくは仮に今回利上げが見送られてもそのあと利上げが継続されるとの観測がマーケット関係者の間で再び高まってきた。
一方、イラン最高指導者ホメイニ氏が、米国がイランを攻撃すればホルムズ海峡を封鎖する。イランが核燃料を独自に開発することは自国の権利であり何者にも妨げられないと発言した。この発言を受けて、NY原油先物(WTI)相場は一時バレル73ドル台まで急騰、27セント高の72.60ドルで取引された。
NY為替市場は、気迷い商況ながら、米利上げ継続期待から対円では1ドル=112円台に買い戻されたが、対ユーロでは、EUでの0.25%利上げ観測からドルは売られ1ユーロ=1.2958ドルで取引された。底流に流れるドル売り懸念は完全に払拭されていない。
先週末に発表された5月の米雇用データが予測を大きく下まわる7万5千人増にとどまったことと、5月のISM非製造業景気指数が、エコノミストの予測の63を下回る60.1と発表されたことで米景気鈍化が確実に進展しているとしてドルに対して売り圧力がかかっている。
なぜバーナンキ議長が国際会議の場を選び、インフレ懸念を敢えて強調したのか極めて興味深い。利上げ打ち止め観測が根強いが利上げ打ち止め期待をこの際払拭し、利上げに期待感をもたせ、世界の金融関係者が集まった中で、米ドルに対する信認をつなぎとめようと楔をうちこもうとしたのであろうか。
バーナンキ氏は、食料・エネルギーを除くコア・インフレ比率は、ここ3ヶ月でみて3.2%、過去6ヶ月の期間で見て2.8%であり、物価を安定させ、安定した米景気を維持するためには、物価上昇は抑制される必要があることを強調した。
お金ほど臆病な生き物はいない。インフレとはお金の値打ちがなくなることだ。アメリカからドルが逃げることをバーナンキ議長は一番怖れているような気がしてならない。(了)
江嵜企画代表・Ken
ワシントンDCで開かれている国際金融会議(International Monetary Conference)において、バーナンキ議長は、コアインフレ率は上限もしくはその域を超えていると発言した。バーナンキ発言のあと、6月29日に予定されている次回FOMCの会合で、0.25%幅の利上げ継続かもしくは仮に今回利上げが見送られてもそのあと利上げが継続されるとの観測がマーケット関係者の間で再び高まってきた。
一方、イラン最高指導者ホメイニ氏が、米国がイランを攻撃すればホルムズ海峡を封鎖する。イランが核燃料を独自に開発することは自国の権利であり何者にも妨げられないと発言した。この発言を受けて、NY原油先物(WTI)相場は一時バレル73ドル台まで急騰、27セント高の72.60ドルで取引された。
NY為替市場は、気迷い商況ながら、米利上げ継続期待から対円では1ドル=112円台に買い戻されたが、対ユーロでは、EUでの0.25%利上げ観測からドルは売られ1ユーロ=1.2958ドルで取引された。底流に流れるドル売り懸念は完全に払拭されていない。
先週末に発表された5月の米雇用データが予測を大きく下まわる7万5千人増にとどまったことと、5月のISM非製造業景気指数が、エコノミストの予測の63を下回る60.1と発表されたことで米景気鈍化が確実に進展しているとしてドルに対して売り圧力がかかっている。
なぜバーナンキ議長が国際会議の場を選び、インフレ懸念を敢えて強調したのか極めて興味深い。利上げ打ち止め観測が根強いが利上げ打ち止め期待をこの際払拭し、利上げに期待感をもたせ、世界の金融関係者が集まった中で、米ドルに対する信認をつなぎとめようと楔をうちこもうとしたのであろうか。
バーナンキ氏は、食料・エネルギーを除くコア・インフレ比率は、ここ3ヶ月でみて3.2%、過去6ヶ月の期間で見て2.8%であり、物価を安定させ、安定した米景気を維持するためには、物価上昇は抑制される必要があることを強調した。
お金ほど臆病な生き物はいない。インフレとはお金の値打ちがなくなることだ。アメリカからドルが逃げることをバーナンキ議長は一番怖れているような気がしてならない。(了)
江嵜企画代表・Ken