藤田嗣治,生誕120年記念展:京都岡崎にある京都国立近代美術館で開催
(5月30日~7月23日)されており、なかなかの評判だと聞いたので
出かけた。
地下鉄、烏丸御池で途中下車、京都文化博物館でたまたま開催していた
「印象派と西洋絵画の巨匠たち展」を見た後、ハシゴした。
朝から雨が激しく降っていたせいか出足はそれほどでなく、お蔭で
100点といわれる藤田作品を堪能することが出来た。
まずビデオコーナーで約10分、『藤田嗣治の生涯』と題する解説を
聞きながらスケッチした。
藤田画伯は、明治19年(1886年)東京で軍医を父として生まれた。
14歳で画家を志し、東京美術学校に入るが今ひとつ納得できず、
大正2年(1913)パリに活路を求め始めて才能が大きく開花した。
今回展示されてなかったが「寝室の裸婦キキ」が乳白色の肌と絶賛され
藤田を一躍有名にさせた。その時藤田がデリケートな線描が評判になったという。
裸婦の輪郭に使ったのが日本画ではお馴染みの面相筆であった。
余談ながら、面相とは文字通り顔つきとか容貌のことである。
面相筆とは、眉毛・鼻の輪郭など細かい部分を描くために使う筆だから
その名がある。穂先が長く細い筆であり日本画には欠かせぬ筆である。
藤田の描いた裸婦が10点近く展示されていたのを今回始めてみたが、
いずれ劣らぬ力作で多くのひとが熱心に鑑賞していたのが印象的であった。
藤田といえば猫の絵も日本人には馴染み深い。イソップ物語を題材に
使ったものや、十数匹の猫が画面いっぱいに乱舞する50号近い大作も
迫力があった。
藤田は第二次世界大戦中、多くの他の画家同様に戦意高揚のためとして
戦争画を描いた。描いたというより描かされたというのが正しいかもしれない。
その中から今回展示されている絵に「アッツツ島玉砕」があるが
鬼気迫るものがある。
今一枚の戦争画にサイパン玉砕の場面の絵があるが、こちらのほうは
民間人入れて約4万人が戦争の犠牲になった場所であるだけに、
凄惨な場面は時代を超えて戦争のむごたらしさを今に伝えている。
サイパン島は日本人観光客で大いに繁盛しているそうだが、沖縄戦同様に
多くの同胞が犠牲になったことをせめて頭の片隅にでも浮かべて欲しいと
絵を前にして改めて思った次第である。
藤田は戦争画で戦意高揚に貢献したとして日本追放の憂き目に
あったと解説にあった。再び日本の地を踏むことなく、81歳でスイスの
病院でなくなった。パリ、ノートルダム寺院に本人の遺言どおり眠っている。(了)
Kenさんのスケッチは、ブログ容量の関係で削除させて頂きましたが、11月1日に、「かんぽう」さんから『ユニークに乾杯』というタイトルで出版予定です。定価2.000円。
ISBN978-4-904021-03-3 C0071 1905E
株式会社 かんぽうサービス ℡06-6443-2173
大阪市西区江戸堀1-2-14 肥後橋官報ビル6F(〒550-0002)
(5月30日~7月23日)されており、なかなかの評判だと聞いたので
出かけた。
地下鉄、烏丸御池で途中下車、京都文化博物館でたまたま開催していた
「印象派と西洋絵画の巨匠たち展」を見た後、ハシゴした。
朝から雨が激しく降っていたせいか出足はそれほどでなく、お蔭で
100点といわれる藤田作品を堪能することが出来た。
まずビデオコーナーで約10分、『藤田嗣治の生涯』と題する解説を
聞きながらスケッチした。
藤田画伯は、明治19年(1886年)東京で軍医を父として生まれた。
14歳で画家を志し、東京美術学校に入るが今ひとつ納得できず、
大正2年(1913)パリに活路を求め始めて才能が大きく開花した。
今回展示されてなかったが「寝室の裸婦キキ」が乳白色の肌と絶賛され
藤田を一躍有名にさせた。その時藤田がデリケートな線描が評判になったという。
裸婦の輪郭に使ったのが日本画ではお馴染みの面相筆であった。
余談ながら、面相とは文字通り顔つきとか容貌のことである。
面相筆とは、眉毛・鼻の輪郭など細かい部分を描くために使う筆だから
その名がある。穂先が長く細い筆であり日本画には欠かせぬ筆である。
藤田の描いた裸婦が10点近く展示されていたのを今回始めてみたが、
いずれ劣らぬ力作で多くのひとが熱心に鑑賞していたのが印象的であった。
藤田といえば猫の絵も日本人には馴染み深い。イソップ物語を題材に
使ったものや、十数匹の猫が画面いっぱいに乱舞する50号近い大作も
迫力があった。
藤田は第二次世界大戦中、多くの他の画家同様に戦意高揚のためとして
戦争画を描いた。描いたというより描かされたというのが正しいかもしれない。
その中から今回展示されている絵に「アッツツ島玉砕」があるが
鬼気迫るものがある。
今一枚の戦争画にサイパン玉砕の場面の絵があるが、こちらのほうは
民間人入れて約4万人が戦争の犠牲になった場所であるだけに、
凄惨な場面は時代を超えて戦争のむごたらしさを今に伝えている。
サイパン島は日本人観光客で大いに繁盛しているそうだが、沖縄戦同様に
多くの同胞が犠牲になったことをせめて頭の片隅にでも浮かべて欲しいと
絵を前にして改めて思った次第である。
藤田は戦争画で戦意高揚に貢献したとして日本追放の憂き目に
あったと解説にあった。再び日本の地を踏むことなく、81歳でスイスの
病院でなくなった。パリ、ノートルダム寺院に本人の遺言どおり眠っている。(了)
Kenさんのスケッチは、ブログ容量の関係で削除させて頂きましたが、11月1日に、「かんぽう」さんから『ユニークに乾杯』というタイトルで出版予定です。定価2.000円。
ISBN978-4-904021-03-3 C0071 1905E
株式会社 かんぽうサービス ℡06-6443-2173
大阪市西区江戸堀1-2-14 肥後橋官報ビル6F(〒550-0002)