縁起でもないが、あんなにお元気そうだったのに、突然なくなられたという話を最近よく聞く。しかし、専門医に聞くと、突然、病気になることはなく、何らかの兆候が病気になる前に出ている。卑近な例では、蕁麻疹が、身体の表面に出てきたときは、からだの中で異変が起きている重要な兆候(indication)であろう。
身体の健康と経済の健康と共通点が多い。ところが、何らかの兆候が出ていたにも関わらず、見過ごすか、それに気が付いていても、適切な措置を、即実行しないひとが多いらしい。いや、頭では分かっていても、つい、つい先送りして、命取りになるようだ。
為替、原油、金利の動きは、からだ(経済)の兆候を知らせる、信号の全てではないが、大いに参考になると常々考えている。それも個々が別々に動くのではなしに、お互いが、上になり下になり、陰に陽に、相互に関連しながら動いている。
人間のからだでもそうで、眼が悪いと思っていても、まさかと思うが、脳に障害が起きて発症するケースがあるそうだ。卑近な例では、蕁麻疹のケースでは、肝臓が悲鳴を上げている結果起こる場合が多いが、腎臓やその他の循環器系統の障害が複合して影響している。
先週末のNY原油先物市場で、銀行がユーロ買いに動いたと今朝のWSJ紙は紹介している。米商務省は、9月の米小売高が0.6%伸びたからドル買い材料だが、ドルが売られてユーロが買われた。これは、マーケットが、対ドルで、ユーロがなお割安だと見ているからだと同紙は解説していた。ドルは安心して買えないと腹の中では考えているのだろう。
同紙は、ユーロ買いの背景に、安い金利で円を借り、利回り期待の大きいユーロを買う、円キャリートレードを指摘している。0.5%の異常に低い日本の金利も、日本の中に居ると気づかないが、地球はひとつだから、下げても4.75%の米国や4.0%でなおインフレ警戒感が強いユーロ圏の通貨を買う大手銀行の動きの方がはるかに理にかなっているのであろう。
NY原油先物市場(WTI)で、先週末、一時、バレル84.05ドルまで値上がりした。あと利益確定売りが出て、バレル83.69ドルで取引を終了した。冬場のガソリン、灯油の需要期入りでの供給不足を材料にした動きであるが、イラク油田地帯に隣接した、クルド自治区を巻き込んだ、トルコ・イラク国境での紛争も原油値上げに利用され易い。
日本人は、皆が飛び込むから飛び込む。新聞に載ってはじめて事実と認識する。昨今の値上げブームがそうだ。健康でも同じだ。身体に変調が起こっていても自分自身の問題としてなかなか捉えない。経済はさておき、せめて健康だけでも他人任せにしないで欲しい。(了)