NY原油相場が、バレル88ドルを突破したことが、今朝の日本の一般紙にも大きく取り上げられている。 日本と言う国は、問題が起こると新聞も取り上げ、騒ぐ。騒いだあと、オモチヤ箱をひっくり返したようになり、事態が収まると、ケロッと忘れる。
健康を失って初めて、健康の有難さを実感する。自分の身に降りかかってこないと、理解できない人が、日本人には特に多い。原油の話でもそれは同じで、自分に関わりないことだと、関心を持たない。これはもう日本人の体質だから、一朝一夕には、直らないだろう。
原油が急騰して、石油メジャーが喜んでいると思うと必ずしもそうではないと、今朝のWSJ紙が伝えている。原油がバレル88ドルに上がっても、原油を精製したガソリンの値段が、バレル90ドル前後で低迷しているからだと説明している。
原油がバレル60ドル前後でガソリンがバレル100ドルを越えていた今年の春先は大いに儲かっていた。一方、ガソリン相場は値下がりした。精製コストがカバーできない。ガソリン依存体質の米国の石油メジャーの多くは、2007年10~12月減益を予想している。
今回、原油相場が火がついたように高騰した背景は、トルコ軍とイラク国境でクルド武装勢力との抗争がエスカレートして、パイプラインが破壊される怖れが出てきたことである。一方、需要面では、相変わらず中国、インドが原油を買いあさっている。儲けが薄い精製能力は増やさない。結果、石油製品在庫が減少する。在庫が減ると値上げ圧力がかかり易い。
石油メジャーに限らず、油田開発にコストがかさみ、割に合わないビズネスになりつつある。環境対応コストもひとつだが、ロシアが権益を保有しているカスピ海沿岸油田の開発にロシアが何かと注文をつけている。これも原油供給拡大にブレーキをかけているようだ。
米ドルの値打ちが落ちてきていることも、投機資金が為替市場から原油など商品相場へ流れる要因のひとつである。金相場がトロイオンス772ドルまで値上がりしたことも同じ流れである。先で値上がりすると思うから買いが入る。先で値下がりすると分っていている商品には客は集まらない。餌場を求めて水鳥はお構いなしに移動する。餌がなくなれば逃げる。
今朝のWSJ紙を読んでいて大きく取り上げていたニュースに、ポールセン米財務長官が米住宅問題に警鐘を鳴らしたことである。米住宅価格の値下がりを放置していると米国経済全体にとって重大なリスクになるだろうとジョージタウン大学で講演した。
10月16日、NY株式市場は、原油相場急騰を嫌気して値下がり、NYダウは71ドル、0.51%下げ、13,912 で取引を終了した。原油高騰は日本人にも他人事で済まされまい。(了)
健康を失って初めて、健康の有難さを実感する。自分の身に降りかかってこないと、理解できない人が、日本人には特に多い。原油の話でもそれは同じで、自分に関わりないことだと、関心を持たない。これはもう日本人の体質だから、一朝一夕には、直らないだろう。
原油が急騰して、石油メジャーが喜んでいると思うと必ずしもそうではないと、今朝のWSJ紙が伝えている。原油がバレル88ドルに上がっても、原油を精製したガソリンの値段が、バレル90ドル前後で低迷しているからだと説明している。
原油がバレル60ドル前後でガソリンがバレル100ドルを越えていた今年の春先は大いに儲かっていた。一方、ガソリン相場は値下がりした。精製コストがカバーできない。ガソリン依存体質の米国の石油メジャーの多くは、2007年10~12月減益を予想している。
今回、原油相場が火がついたように高騰した背景は、トルコ軍とイラク国境でクルド武装勢力との抗争がエスカレートして、パイプラインが破壊される怖れが出てきたことである。一方、需要面では、相変わらず中国、インドが原油を買いあさっている。儲けが薄い精製能力は増やさない。結果、石油製品在庫が減少する。在庫が減ると値上げ圧力がかかり易い。
石油メジャーに限らず、油田開発にコストがかさみ、割に合わないビズネスになりつつある。環境対応コストもひとつだが、ロシアが権益を保有しているカスピ海沿岸油田の開発にロシアが何かと注文をつけている。これも原油供給拡大にブレーキをかけているようだ。
米ドルの値打ちが落ちてきていることも、投機資金が為替市場から原油など商品相場へ流れる要因のひとつである。金相場がトロイオンス772ドルまで値上がりしたことも同じ流れである。先で値上がりすると思うから買いが入る。先で値下がりすると分っていている商品には客は集まらない。餌場を求めて水鳥はお構いなしに移動する。餌がなくなれば逃げる。
今朝のWSJ紙を読んでいて大きく取り上げていたニュースに、ポールセン米財務長官が米住宅問題に警鐘を鳴らしたことである。米住宅価格の値下がりを放置していると米国経済全体にとって重大なリスクになるだろうとジョージタウン大学で講演した。
10月16日、NY株式市場は、原油相場急騰を嫌気して値下がり、NYダウは71ドル、0.51%下げ、13,912 で取引を終了した。原油高騰は日本人にも他人事で済まされまい。(了)