(学校で教えてくれない経済学)
「アジアが戦場になる日」という表紙のニューズウイーク日本版最新号は読みごたえがあった。一冊450円である。煙草を吸う方でもひと箱節約して読んで欲しい。ただ、日本の話題がひとつもなかった。話題を提供すること全てよいことではない。しかし、日本関連の記事ゼロの日本版というのも日本の今の姿をある種、象徴してはいないか。
「アジアに広がる軍拡中毒」のタイトルで「中国や北朝鮮で軍の強大化が進み、周辺の民主主義国でも軍拡に拍車がかかっている」とジョシュア・カ―ランジック(米外交評議会研究員)が書いていた。こう言う記事は日本以外の国では当り前なのだろうが、日本で住んでいると知らないことが多すぎて目から鱗だった。
「父親に比べて権力基盤の弱い金正恩(キムジョンウン)は、党幹部や軍指導部に益々頼らざるを得なくなる」と、北朝鮮情勢に詳しいヘリテ―ジ財団(ワシントン)のブルース・クリングナ―上級研究員は予測すると紹介していた。今回の砲撃は一つの証拠だろう。
「スゴ腕長官の米軍改造計画」のタイトルで「ゲ―ツ国防長官には退任前に重大な任務が残っている。その戦場はアフガニスタンでもイラクでもなく国防省だ」とジョン・バリー(軍事問題担当)とエバン・トーマス連名の記事が出ていた。そのなかで「まともに結果を出していない人間を、ゲ―ツは淡々と更迭する」というくだりが特に印象的だった。
経済関係では、「世界経済が陥る負のスパイラル」のタイトルで「G20の罵り合いから脱却するため各国は「大人になる」べきだ」とラ―ナ―・フォル-ハ-(ビスネス担当)記者が1ページ割いた記事の中で、「共同声明の不明瞭な表現が交渉の混乱を物語っていた。」と書いた。そこまではいい。「不明瞭だからこそ、20の国と地域が揃って承認できたのだ」の一行が光っていた。どの国も自分の国を守ることに精一杯であることを教えてくれる。
経済であとひとつ「財政危機でもやせ我慢するアイルランド」のタイトルで、ウイリアム・アンダーヒル(ロンドン支局長)が、「(アイルランドは)融資の条件として、EU諸国が現行12.5%の法人税率の引き上げを求めて来ることを懸念している。そこに魅力を感じたファイザーやグーグル、インテルなど巨大な多国籍企業が次々進出し「ケルトの虎」と呼ばれるまでに成長した」と書いていた。
ヨーロッパの法人税率はドイツ30%、イギリス28%など高い。アイルランドが現行税率を保てないのは明らかだろうが、「ヨーロッパが強いアイルランド経済とユーロの安定を実現したいなら、低い税率には目をつむった方が良さそうだ」と明快に結論を出していた。
日本は名前だけ一人前の情報に高い顧問料を払っている。一冊450円は安い買い物だ。(了)
「アジアが戦場になる日」という表紙のニューズウイーク日本版最新号は読みごたえがあった。一冊450円である。煙草を吸う方でもひと箱節約して読んで欲しい。ただ、日本の話題がひとつもなかった。話題を提供すること全てよいことではない。しかし、日本関連の記事ゼロの日本版というのも日本の今の姿をある種、象徴してはいないか。
「アジアに広がる軍拡中毒」のタイトルで「中国や北朝鮮で軍の強大化が進み、周辺の民主主義国でも軍拡に拍車がかかっている」とジョシュア・カ―ランジック(米外交評議会研究員)が書いていた。こう言う記事は日本以外の国では当り前なのだろうが、日本で住んでいると知らないことが多すぎて目から鱗だった。
「父親に比べて権力基盤の弱い金正恩(キムジョンウン)は、党幹部や軍指導部に益々頼らざるを得なくなる」と、北朝鮮情勢に詳しいヘリテ―ジ財団(ワシントン)のブルース・クリングナ―上級研究員は予測すると紹介していた。今回の砲撃は一つの証拠だろう。
「スゴ腕長官の米軍改造計画」のタイトルで「ゲ―ツ国防長官には退任前に重大な任務が残っている。その戦場はアフガニスタンでもイラクでもなく国防省だ」とジョン・バリー(軍事問題担当)とエバン・トーマス連名の記事が出ていた。そのなかで「まともに結果を出していない人間を、ゲ―ツは淡々と更迭する」というくだりが特に印象的だった。
経済関係では、「世界経済が陥る負のスパイラル」のタイトルで「G20の罵り合いから脱却するため各国は「大人になる」べきだ」とラ―ナ―・フォル-ハ-(ビスネス担当)記者が1ページ割いた記事の中で、「共同声明の不明瞭な表現が交渉の混乱を物語っていた。」と書いた。そこまではいい。「不明瞭だからこそ、20の国と地域が揃って承認できたのだ」の一行が光っていた。どの国も自分の国を守ることに精一杯であることを教えてくれる。
経済であとひとつ「財政危機でもやせ我慢するアイルランド」のタイトルで、ウイリアム・アンダーヒル(ロンドン支局長)が、「(アイルランドは)融資の条件として、EU諸国が現行12.5%の法人税率の引き上げを求めて来ることを懸念している。そこに魅力を感じたファイザーやグーグル、インテルなど巨大な多国籍企業が次々進出し「ケルトの虎」と呼ばれるまでに成長した」と書いていた。
ヨーロッパの法人税率はドイツ30%、イギリス28%など高い。アイルランドが現行税率を保てないのは明らかだろうが、「ヨーロッパが強いアイルランド経済とユーロの安定を実現したいなら、低い税率には目をつむった方が良さそうだ」と明快に結論を出していた。
日本は名前だけ一人前の情報に高い顧問料を払っている。一冊450円は安い買い物だ。(了)