第一回大阪府立大ホームカミングデー記念講演会風景
江嵜企画代表・Ken
第1回大阪府立大学ホームカミングデーが中百舌鳥キャンパスで開かれ、宗教学者の山折哲雄さんが『日本(やまと)ことばの力』と題して講演される様子をスケッチした。実は山折さんのお話を講演でお聞きするのは初めてだった。
「読売こころ塾」ではおなじみにさせていたが、お話しの中味もさることながら、講演のつぼと言うか、時間通りぴたりと終えられたところも含めて、講演とはこういう風に話すものですよ、と改めて教えられた次第である。
第二部の特別公演『平家物語を聴く』は、おなじみの「祇園精舎」、ついで「祇王」、「小教訓」、「知章最期」を坂田美子、平野啓子、岡崎和彦各氏の熱演に堪能した。
大阪府立大学は、大阪府立女子大、府立看護大学と統合して今年5年目となる。50年前神戸から地下鉄、南海高野線と乗り継いで4年間通った。いまやその面影はほとんど残っていない。ひとことでいえば立派になったというのが実感である。
型どおりパーティーが終わり、午後1時半から宗教学者、山折哲雄さんの話がはじまった。東北の生んだ石川啄木、宮沢賢治、斎藤茂吉の作品が選ばれた。とくに賢治の作品「風の又三郎」、「注文の多い料理店」、「銀河鉄道」にでてくる言葉にスポットが当てられた。
3人の詩人に共通なことは盆地で育ったこと。育った風土、土地の言葉、日本(やまと)言葉の力が、作品に見事に出ていると、作品に出て来る言葉を例示しながら解説された。
「平家物語を聴く」も豪華メンバーで、聴きごたえがあった。「知章最期」では、「わが子知章を楯にして生き延びた軍師、平知盛の生き様」を伝えて余りある。
平家物語は、「敗者の視点から物語が作られている」と解説にあった。「祇園精舎」にある「盛者必衰」、「祇王」では、「来世への「安寧」を願い、現世をいかに生きるかを教えている。」このような考え方が、800年前に日本に、既に存在していたことを改めて教えられて、実に感慨深い一日となった。
記念パ―ティーの会場で、府立大の前身の農業専門学校を昭和16年卒業の大先輩とテーブルをご一緒した。氏はラバウルに出兵、4名生き残りの1人という。生々しい戦争体験を聴かせてもらった。
どちらにお住まいですかとお聞きしたら阪急御影駅の近くという。自宅に近いではないか。最近、考えられないような偶然が続いている。不思議でならない。
カニツアーで2日留守をする。何事も起こらないで欲しいと祈っている。(了)