神戸そごう前バス停風景
江嵜企画代表・Ken
神戸そごう前でバス待ちの情景をスケッチした。
乗車して5分もたたないうちにちょっとしたハプニングが起こった。
バスは突然、止まった。運転手が連絡電話で救急車を呼んでいるではないか。
後ろの座席から関西で俗にいうオッサンが「早ょ、バス出さんかい!!なにボヤボヤ、しとんか!!」
とひと声吠えた。バスの出口でなにやら起こったらしい。「どないしたんや、どないしたんや?」と
2~3の客が席をたって覗きにいった。
後ろの座席にいたオッサンが「急いどんや!!ほっといてバス出せ!!」と運転手に怒鳴りこんできた。
「ご迷惑をおかけします。今、救急車、呼んどりますので、しばらくお待ちください」と泣くような声で客に運転手が詫びた。
一人の男は、席を立ち、バスから消えた。どうやら降りたらしい。
怒鳴るオッサンにご婦人のひとりが「運転手さんは、なんにも悪るないやないか。あんた、何言うてんの」と諭すように話したら急にオッサンはおとなしくなった。
車掌が乗客に「どなたか、今の目撃状況を書いてくれませんか。お願いします」とマイクで頼んだ。暫時あって、オッサンのすぐうしろにいたご婦人の一人が運転手の言うままに、氏名、電話番号を書いて渡した。
メモを受けとったあと、運転手は、「後のバスに乗り替えてください。」とアナウンスした。フラワーショップ「潤」で花を買った帰りだったので満員のバスを避け、降りて最寄駅阪神電車「春日野道駅」から電車で帰宅した。駅まで3つほどバス停で大勢の客が待っていた。
通りすがり、こうこうしかじかと説明すると「ご親切に」と丁寧に応対されるご婦人が中におられ感心した。
横目でバスの足元を見たら、松葉づえを小脇に抱え、買い物をしたのであろう
右手にビニル袋を握りしめて、タラップ下で荒い呼吸でへたり込んでいる男性の姿を目撃した。
どうやら降りる時タラップで足を踏み外したらしいと誰かが話す声が聞こえた。
こう言った事故は日常茶飯なのかもしれない。運転手の落ち着いた対応ぶりが印象に残った。わめくオッサン。たしなめるご婦人。買って出て書類に書き込んだご婦人。
三人三様の立ち居振る舞いを記録にとどめた次第である。
阪神御影駅下車、自宅近くのバス停にたまたま超満員のバスが止まろうとしていた。
事故に巻き込まれたバスは現場検証のため残り、おそらく次発のバスと思われた。(了)