チュ―リップ第2弾
江嵜企画代表・Ken
チューリップをスケッチしていたら「綺麗に咲いていますね。」と金網のフェンス過ごしに年恰好50前後とお見受けする男性が声をかけて来た。動物園で言えば檻の外から檻の中に声をかけてくれたようなものだ。没我に近い状態で描いているから、すぐそばの通りで人が覗いていても分からないときが多い。
「中にお入りになりませんか」と声をかけた。思いがけない反応だったのだろう、はじめきょとんとした顔をしていた。「どうぞ、どうぞ」と合いの手を入れた。「いいんですか?」といいながら恐る恐る入ってきた。いきなりカメラを出してシャッターを切りはじめた。写真を撮りたかったようだ。
「いろいろな色の花が咲いていますね。」といいながら、シャッターを盛んに切った。素人園芸ですからえらそうなことは言えませんがと前置きしてチューリップ談義がはじまった。
毎年、秋になると球根を植える。植えた翌年咲いても次の年咲かない。「ほれ、見てください、真中が空いているでしょ
う。」と花のない場所指差した。政策的に一年でおしまいのように遺伝子操作している話しを聞いていますと専門づらして答えた。
球根の色は買う時に分かる。ほぼカン板通りに咲く。丈が意外に大きく生長する花もあれば、逆の場合もある。ことしは花ビラの回りに白のフリーツのように咲く花が咲いた。
ひとしきりシャッターを押し続けた後、満足されたようで「ありがとうございました」と声をかけて帰られた。帰られる前、里の家の隣家に住んでおられたZさんと面識があったという。
「失礼ですが、どちらにお住まいですか。」と訪ねたら「本山に住んでいます。いつも花の前を通ります。」と話していた。花が取り持つささやかなコミ二ュケ―ションが出来た。
「いいご縁をいただきました。」と言って先日描いたチュ―リップ第一弾のスケッチコピーを渡した。(了)