夏の甲子園開幕、甲陽学院西田キャプテン、堂々開会式行進先導
江嵜企画代表・Ken
台風一過、夏の甲子園が史上初、2日順延のあと8月11日開幕した。今年は甲子園球場生誕90年にあたる。90年前、甲子園球場完成の前年1923年夏優勝した甲陽学院、当時主将が開会式入場行進を先導したことにちなんで、甲陽学院高校3年、野球部キャプテン、西田壮汰君が96回大会開会式行進先導を堂々つとめた。
前日の10日、こちら神戸も瞬間最大風速40メートルの強風が吹き荒れた。甲子園球場へ出かける前、阪神青木駅前の更地に立ち寄った。なんと19年前の阪神淡路大震災をしのいだ棕櫚の木が哀れ根元から約1メールとところでぽっきり折れ、横倒しになっている光景を目にしたのには正直たまげた。
母校の後輩が縁あって開会式行進を先導する。絶対に見逃せない。甲子園に着いたときは午前6時20分だった。ところが阪神甲子園球場前はすでに黒山の人だかりである。お目当てはバックネット裏、内野特別自由席である。ここが最後尾と係員が当の立札を持った場所までにはすでに200メートル近い列ができていた。
予定時間を早めて売り出しを始めたのだろう。7時過ぎに、球場全体を見渡すことができ、西田キャプテンをできるだけ至近距離でとらえられる、頃合いの席を確保できたのは幸いだった。開会式まで2時間近くある。ところが、ほとんどあき席がない。目の前の席からスケッチを始めた。視点を徐々に広げていく。外野席の輪郭を抑えて最後に観客を点で打ち込んだ。
あとは開会式を待つばかりである。午前9時ぴたりに開会式が始まった。ライト外野席とライトアルプススタンド間の扉が開いた。西田キャプテンの姿が目に飛び込んできた。目の前を通り過ぎるまで意外と早かった。元気よく両手を振りながら、あっという間に通り過ぎる一瞬を、あらかじめ開けておいたスペースに描きこんだ。
開会式を見たあとそのまま球場を出た。球場正面には歴代の優勝校の校旗が並んでいる。旗を手に取っていている男性がいるではないか。お互い、聞くとはなしに母校卒業生だとわかった。これこれしかじかと自己紹介、65回生のMさんとわかった。もちろん初対面である。スケッチが出来上がれば送らせていただきますと約束して甲子園球場を後にした。
開会式だけ見て帰る人は結構多い。行進もいいが選手宣誓で何を話すかを聞くのも毎年楽しみだ。作進学院の中村幸一郎キャプテンが「長く記憶に残る大会にして、我々を支えてくれた方々に感謝し、皆さんに夢と感動を与えます。」と簡潔に話したことばが印象に残った。母校後輩が開会式行進を先導する思いがけない出来事もあった。思い出に残る夏の甲子園開会式になりそうだ。(了)