関西老舗輸送機器メーカーS社株主総会風景
江嵜企画代表・Ken
関西老舗輸送機器メーカーS社の株主総会が6月29日午前10時から開催され楽しみにして出かけた。会場は本社5階大会議室、おそらく身内と思われる人が前列を占め、あと株主、老人が多い。ご婦人もぱらぱらだが、後ろの席を占めていた。全体でせいぜい100人程度で、地味そのものである。
当社甲南工場は、母校本庄小学校と道一つ隔てて大阪湾に面し、現在は水陸両用飛行艇を生産している。当社は、川西機械製作所の飛行機部を設置『自分たちの手で飛行機をつくる』という決意から、川西航空機が誕生したと、会場で株主に配布された資料に記す。
70数年前、日本はアメリカ相手に戦争をしていたことを語る大人自体がほとんどいなくなった。なかでも当社はゼロ戦、紫電改を生産していた。そのため、哀れ米軍の空爆の巻き添えを食らった。終戦の年の暮れになっても焼夷弾の残骸が校庭の隅にゴミ然と放置されていたことを記憶している。昭和22年(1947)春、筆者小学3年生の時ようやく校舎が再建された。
前置きが長くなった。株主総会出席の目的は社長さんが株主の質問をどう裁くかを自分の目で確かめる事である。この日は5人ほどの株主が質問した。
4番目に質問した株主がこの日出席した株主の気持ちを代表していた。何を言いたかったのか。売り上げ2000億円、営業利益150億円、過去最高の実績。配当14円、株価600円台。理解に苦しむというものだっ。配当は年20円、株価は800円を目指して頑張れと激を飛ばした。会場から拍手が起こった。
社長さんは「貴重なご意見をいただき感謝申し上げます。航空機産業は手元に余裕資金を保持しておくことを常に求められる。安定配当を維持したい。2016年度は1ドル=120円が業績に寄与した。ドル高1円で2億の減収になる。イギリスのEU離脱で先が見通しづらくなった。どこまで円高が進むか想定はむつかしい。ご理解願いたい」などとかわした。
総会のあと本社玄関前から阪急仁川駅方面は大型バス、JR甲子園口駅方面は小型バスが用意された。往路は阪急仁川経由で自宅から約1時間かかった。帰路はJR経由で30分足らずで帰宅できた。しがない1,000株株主であるが、当社の健闘を静かに見守りたい。(了)