吉川二郎コンサート
江嵜企画代表・Ken
ギタリスト、吉川二郎さんのコンサートとスペイン料理の集まりが12月15日(土)午後6時半から阪急西宮北口駅から北へ徒歩5分のところにある西北スペインパル「チャコリ」で開かれ、楽しみにして出かけた。会場の様子をいつものようにスケッチした。
少しでもいい場所でスケッチしたいとの思いからどうしても早めに席に着きたい気持ちが強くなる。この日は開演と開場の時間を間違え早く着いたお陰で阪急「西宮北口駅」北界隈を散策することが出来た。この地は、かれこれ24年前になる阪神淡路大震災で大きな被害を受けた地域のひとつである。
当駅南には、震災の後、都市開発が進み、その一つに西宮球場の跡地に西宮ガーデン、音楽ホールなどが並び今や様変わりである。駅北は飲食街になっている。おしゃれなスペイン料理店があることを今回初めて知った。
お店に入ってワイン置き場の上の壁に「スペインとフランスの両方にまたがる国境近く地域の総称をBasque(バスク)と呼ぶ。バスクの人々はバスク語(EuskaHerria)を話しバスク独自の文化を築いてきた。美食の街としても知られ、海や豊かな自然に囲まれておりBarが盛んだ」のあとに「まずはTxakoliを一杯!」と書いた看板を見つけた。
Txakoli(チャコリ)で乾杯のあと第1部、吉川二郎さんのギター独奏ではじまった。「予感」「麗しのグラナダ」「めのう岬」「迷路」4曲続けて演奏した。演奏と演奏の合間に恒例により語りが入る。
例えばこんな具合である。「めのう岬」の演奏では「アフリカへの航路の港町、アルメニアの郊外にある雌猫岬(Cabo de Gata)周辺には、めのうが多く産出され、めのう岬(Cabo de Agata)と呼ばれていた。灯台の下の岩場に、地中海の穏やかな波が当たって砕ける。」との語りが入る。その直後に「雌猫岬と言いますが、どうして雌とわかるのかな」とポツリと入るところが面白かった。
休憩を入れずに第2部は午後7時に共演者の野口久子さんとのギター二重奏である。吉川二郎さんは今年プロ生活40年目、野口久子さんとの共演は20年目になると話された。お2人による活動範囲は年々拡大、国内のみならず、2004年からサラマンカ、グラダナ、アルメニア、トレドなどスペイン各地でコンサート活動を続けておられる。
第2部は、スペイン民謡、「幻想のロマンス」からはじまった。「この歌はスペインの古い民謡で、映画「禁じられた遊び」のテーマ曲「愛のロマンス」がフラメンコの形式に盛り込まれて編曲された」と解説された。
第2部最後の曲は「あら!ふらめんかー2nd Version」と題して、おなじみの日本の歌がフラメンコ風のリズムで演奏され大いに楽しんだ。アンコール1曲の後、スペイン料理をおいしくいただいた。
会食中、吉川二郎さんと幸い話す機会があり「スペインとポルトガルとは隣同士だがお互い相いれないところがある」とお聞ききした。日本との話になると、とたんにこじれるどこかの国との関係が頭をよぎった。
吉川二郎さんは「スペインは親日的で気候温暖、風向明媚なところが多い。是非スペインを尋ねられるといいですよ」と薦められたが、明快なご返事がその場で出来なかったことは残念だった。
テーブルごとにワインをとって談笑した。同じテーブルの方は吉川二郎さんの母校、関西学院大学の一年先輩の仲間の皆さんだった。お店貸し切り制限時刻、9時半きっかりにお開きとなった。居心地が良かったせいもありワインのピッチが進んだようで、ご機嫌で帰路についた。素晴らしい機会をいただいた吉川二郎さんにひたすら感謝である。(了)