(学校で教えてくれない経済学)
「終わりのなかった円高デフレの道に終わりが見えてきた。その結果、最大の被害を受けるのは近隣国である。被害を受けるのは中国、韓国の近隣であるが、日本のはるか遠方のドイツにも被害は及ぶだろう。なかでも金融システムが未だ脆弱な中国が最大の被害を受ける。1996年の円安はアジア金融危機の引き金となった。近隣諸国は対応を急ぐべきだ。」と書いたAndyXie氏(Caixin)の記事を27日付けのCNBC Asia Pacif電子版で読んだ。
日本人は自分だけの目線で物事を見ている。日本人には、世界が日本の動静を固唾を飲んで見守っているという意識がほとんどない。ロシアや中国の立場から彼らが日本をどのように見ているかについて、世界地図を逆さに向けて、子供達に見せるだけでも効果がある。先生のちょっとした所作が、知識欲旺盛な子供を大いに刺激してくれるからだ。日本の傍にどんな国があり、様々な人間が毎日生活しているかということを世界地図一枚で教えてやって欲しい。
先のCNBCの記事は、「日本のGDPは1997年にピークを打った。資産価値はその後、毎年下落した。日経ダウは現在ここ30年間で最低レベルにある。今なお日本の政策当局、産業界、学者、為替トレーダー全てが強い円を信じている。これは間違いである。自己満足である。日本の借金は1000兆円、対GDP比で215%、一人当たり780万円である。日本の4月から始まる新年度予算の利払いは22.3兆円に達し、予算の4分の1を占める。現時点では金利は1%である.しかし、2% に上がるだけで42.3兆円となり、税収を超える。」と書いていた。
日本人に欠落していることをひとつ上げろと言われたら、金利意識のなさであろう。現在消費税論議を政権与党内で進めているが金利意識が全くない。ひとたび日本国債が売りに転ずれば、現在の利回り1%は簡単に2%になる。「消費税を5%から10%に引き上げても2年持たない」と野口悠紀雄氏が近刊「消費増税では財政再建は出来ない」で指摘しておられる。
26日、日本の財務省は日本の国債の外国人保有比率が2011年初めの6.5% がその後の欧州金融危機を経て安全資産として日本国債が買われ、年末には8.5% へ拡大した」と発表した。日本国債はほぼ100%日本人が保有しているから安心だと、ギリシャが外国人保有が過半数を占めているとの違いを指摘する専門家が多数を占めている。
先のCNBCの記事に戻す。「円の崩壊は中国、韓国に大きなインパクトを与える。」と繰り返したあとで「金融バブルはゆっくりと進むが、突然ぽんとはじける。日銀がことし2月、65兆円の日銀国債購入、5.5兆円貸出増を決めた。これは日本のGDPの15% に相当する。米FRB,ECBの国債購入にほぼ匹敵する巨額である。ただ、ドルは年初来10%上昇したが、これは米国経済の緩やかな改善を反映したドル買い・円売りだった。しかし、2月の日銀の発表は、日本国債利回り急騰の引き金に十分なるだろう。」と明快だった。
一方、27日、NY証券取引所では、前日の大幅高の反動もあり売り買い交錯の中NYダウは前日比43ドル安、13,197ドルで取引を終了した。28日朝7時25分配信のCNBCAsiaPcific電子版は「バ―ナンキ発言受けてのラリーのあと一呼吸した」とこの日の相場の地合いをひとことで説明していた。3月の米消費者信頼感指数が2月と横ばいの70.2ながらも予測を下回った。住宅価格シラ―指数が下落したことが響いたと解説していた。
「ワールドWaveMorning」(経済情報)に出演したみずほコーポレート銀行、荒井守氏は「寄りつきはしっかりだったが、米消費者信頼感指数を見て、もみ合いになり、引けにかけて反落した。為替市場では小幅円安が進んだ。30,31日開催のEU財務相会議で、救済規模が現行の5,000億ユーロが7,500億ユーロへの拡大が審議される。セーフティーネット拡大がどこまで拡大されるか注目される。」などと解説していた。
27日、NY外国為替市場で、1ドル=83.12~17円、1ユーロ=110.70~73円で取引された。NY原油【WTI】先物相場は、ほぼ横ばいのバレル30セント高、107.33ドル、NY金先物相場は、トロイオンス70セント安、1,684.80ドルで取引された。金相場については,先のCNBC Asia Pacific電子版によれば、2011年にピークを付けたと解説していた。
今朝の「ワールドWaveMorning」(世界の扉)コーナーで、ヨーロッパ経済、欧州金融危機の行方を特集していた。NHKロンドン支局の斎藤隆氏は「欧州金融危機払しょくには数年かかるだろう。ポルトガル、スペインが控えている。」などと話していた。27日のスペインTVEは「スペイン各省庁は今年度予算をそれぞれ15%削減した」などと伝えていた。経済成長を伴っての財政赤字削減は至難のわざであろう。
日本の総理は核安全保障サミットに「遅刻」して「早退」したと、一部日本のメディアが珍しく揶揄していた。日本のトップが悪いのではない。選んだのは一人一人の日本の国民である。50数ケ国の首脳が貴重な時間を割いてソウルに集まった。真っ先に駆けつけ、最後まで残ってホストに付き合うのが主催国、隣家韓国へのせめてもの礼儀だろう。世界が日本を益々軽視することだけは確かである。(了)
「終わりのなかった円高デフレの道に終わりが見えてきた。その結果、最大の被害を受けるのは近隣国である。被害を受けるのは中国、韓国の近隣であるが、日本のはるか遠方のドイツにも被害は及ぶだろう。なかでも金融システムが未だ脆弱な中国が最大の被害を受ける。1996年の円安はアジア金融危機の引き金となった。近隣諸国は対応を急ぐべきだ。」と書いたAndyXie氏(Caixin)の記事を27日付けのCNBC Asia Pacif電子版で読んだ。
日本人は自分だけの目線で物事を見ている。日本人には、世界が日本の動静を固唾を飲んで見守っているという意識がほとんどない。ロシアや中国の立場から彼らが日本をどのように見ているかについて、世界地図を逆さに向けて、子供達に見せるだけでも効果がある。先生のちょっとした所作が、知識欲旺盛な子供を大いに刺激してくれるからだ。日本の傍にどんな国があり、様々な人間が毎日生活しているかということを世界地図一枚で教えてやって欲しい。
先のCNBCの記事は、「日本のGDPは1997年にピークを打った。資産価値はその後、毎年下落した。日経ダウは現在ここ30年間で最低レベルにある。今なお日本の政策当局、産業界、学者、為替トレーダー全てが強い円を信じている。これは間違いである。自己満足である。日本の借金は1000兆円、対GDP比で215%、一人当たり780万円である。日本の4月から始まる新年度予算の利払いは22.3兆円に達し、予算の4分の1を占める。現時点では金利は1%である.しかし、2% に上がるだけで42.3兆円となり、税収を超える。」と書いていた。
日本人に欠落していることをひとつ上げろと言われたら、金利意識のなさであろう。現在消費税論議を政権与党内で進めているが金利意識が全くない。ひとたび日本国債が売りに転ずれば、現在の利回り1%は簡単に2%になる。「消費税を5%から10%に引き上げても2年持たない」と野口悠紀雄氏が近刊「消費増税では財政再建は出来ない」で指摘しておられる。
26日、日本の財務省は日本の国債の外国人保有比率が2011年初めの6.5% がその後の欧州金融危機を経て安全資産として日本国債が買われ、年末には8.5% へ拡大した」と発表した。日本国債はほぼ100%日本人が保有しているから安心だと、ギリシャが外国人保有が過半数を占めているとの違いを指摘する専門家が多数を占めている。
先のCNBCの記事に戻す。「円の崩壊は中国、韓国に大きなインパクトを与える。」と繰り返したあとで「金融バブルはゆっくりと進むが、突然ぽんとはじける。日銀がことし2月、65兆円の日銀国債購入、5.5兆円貸出増を決めた。これは日本のGDPの15% に相当する。米FRB,ECBの国債購入にほぼ匹敵する巨額である。ただ、ドルは年初来10%上昇したが、これは米国経済の緩やかな改善を反映したドル買い・円売りだった。しかし、2月の日銀の発表は、日本国債利回り急騰の引き金に十分なるだろう。」と明快だった。
一方、27日、NY証券取引所では、前日の大幅高の反動もあり売り買い交錯の中NYダウは前日比43ドル安、13,197ドルで取引を終了した。28日朝7時25分配信のCNBCAsiaPcific電子版は「バ―ナンキ発言受けてのラリーのあと一呼吸した」とこの日の相場の地合いをひとことで説明していた。3月の米消費者信頼感指数が2月と横ばいの70.2ながらも予測を下回った。住宅価格シラ―指数が下落したことが響いたと解説していた。
「ワールドWaveMorning」(経済情報)に出演したみずほコーポレート銀行、荒井守氏は「寄りつきはしっかりだったが、米消費者信頼感指数を見て、もみ合いになり、引けにかけて反落した。為替市場では小幅円安が進んだ。30,31日開催のEU財務相会議で、救済規模が現行の5,000億ユーロが7,500億ユーロへの拡大が審議される。セーフティーネット拡大がどこまで拡大されるか注目される。」などと解説していた。
27日、NY外国為替市場で、1ドル=83.12~17円、1ユーロ=110.70~73円で取引された。NY原油【WTI】先物相場は、ほぼ横ばいのバレル30セント高、107.33ドル、NY金先物相場は、トロイオンス70セント安、1,684.80ドルで取引された。金相場については,先のCNBC Asia Pacific電子版によれば、2011年にピークを付けたと解説していた。
今朝の「ワールドWaveMorning」(世界の扉)コーナーで、ヨーロッパ経済、欧州金融危機の行方を特集していた。NHKロンドン支局の斎藤隆氏は「欧州金融危機払しょくには数年かかるだろう。ポルトガル、スペインが控えている。」などと話していた。27日のスペインTVEは「スペイン各省庁は今年度予算をそれぞれ15%削減した」などと伝えていた。経済成長を伴っての財政赤字削減は至難のわざであろう。
日本の総理は核安全保障サミットに「遅刻」して「早退」したと、一部日本のメディアが珍しく揶揄していた。日本のトップが悪いのではない。選んだのは一人一人の日本の国民である。50数ケ国の首脳が貴重な時間を割いてソウルに集まった。真っ先に駆けつけ、最後まで残ってホストに付き合うのが主催国、隣家韓国へのせめてもの礼儀だろう。世界が日本を益々軽視することだけは確かである。(了)