「管弦楽組曲」だけを推薦したのでは「片手落ち」ですので、もう一つのバッハ管弦楽曲の代表作「ブランデンブルク協奏曲」もぜひ! 華やかで幸福感に溢れるこの名曲もクレンペラーの独壇場です。これも24ビットのリマスター盤で1960年の録音とは思えない高音質。価格も2枚組-2300円ですのでお買い得です。「管弦楽組曲」と同じく東芝EMIの「決定版1300」のシリーズです。
不動の愛らしさ、
頑固な寛容さ、
厳しい優しさ、
反道徳的で倫理的、
強固な理念の民主制、
規範ある自由、
孤高の連帯、
クレンペラーのつくる音楽は実に豊かである。言葉の最良の意味で「ロマンティク」である。この馥郁(ふくいく)とした不動のロマン性は、ロマン主義を殺したところにはじめて生まれるもの。
クレンペラーの精神の奥深くが、ロマン性を豊かに宿している=真に高貴な霊性を持っているから、弱弱しく、品位の低い、愚かな「ロマン主義」とは全く無縁の音楽を、ロマン豊かに奏でることができる。私はそう見ています。
毅然として揺るぎない。イン・テンポで客観性を失わない。楽譜に従いつつ自由である。
誰よりも「ロマン主義」を退治することができたクレンペラーの音楽は、真にロマンティクである。
強く確かな精神のみが真のロマンを生み出せるーこれは不動の真実。
7月22日 武田康弘
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