思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

白樺教育(ソクラテス教室)へのご招待ー4つの文章

2011-03-01 | 恋知(哲学)
白樺教育館のCLASS-【ソクラテス教室】(小学クラス~大学クラス)への招待のために、案内書(B4両面)をつくりましたが、そこに載せた4つの文章を以下にコピーしますので、ぜひ、ご覧下さい。ご意見をお待ちします。

白樺の教育  ―ソクラテス教室― 1976~2011

 ほんらいの勉学は、自分の頭を悩ませて、「うん、なるほど」と納得を得ることです。点数競争ではありません。
 受験第一の勉強では、知ること・考えることの楽しさが得られず、納得=意味了解の喜びとは縁がなくなりますが、それでは「私」を活かせず、一生の損としか言えないでしょう。
 「優れた知」のために必要なのは、自分の経験につき、自分で見、調べ、想い、考える学習です。ソクラテス教室では、35年の豊富な経験をもつタケセン(武田康弘)が、「納得したい人」を親身にサポートしています。
 小学生~大学生のみなさん、美しく充実した設備をもつ『白樺教育館』で、関心を広げる勉学を共にしてみませんか。「心身全体による会得」ができるようになると、頭はどんどん回り始めます。「心と頭の幹を強くする知」は、自立した豊かな人間になるために何よりも大切です。


武田康弘のプロフィール1952年 東京・神田生まれ。
白樺教育館・館長。白樺文学館・初代館長。哲学者。        
*最近2年間の主な活動:
2009年~2010年、参議院「行政監視委員会」の客員調査員に任命され、国会所属の官僚に哲学の講義を行う。2010年、中央学院大学で「哲学のすすめ」、東洋大学大学院で「公共の哲学」を講義。金泰昌・武田康弘の「哲学往復書簡30回」が東京大学出版会より刊行―『ともに公共哲学する』(2010年8月初版)。


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  「問い」をよろこぶと、強い頭が育つ。  

 幼い子ほど、なぜ、どうして、とうるさいくらいに問いを発します。
 そのとき、どういう態度を親や教師がとるかで、子どもの未来は大きく変わります。子どもは、なぜ、と意味を問うているのです。ただの知識・事実ではなく、それにはどんな意味があるのかを知りたいのです。
 何より大切なのは、その問いに対して、親や教師が一緒に考えようとすることです。答えられなくてよいのです。「不思議だね」「なぜだろう」と一緒に考えようとする態度が、優れた頭、芯の強い頭をつくる条件です。
 むやみに「もの」を与えるのと同じように、羅列的な知識・事実を与えると「表層的な知」しか持てない弱い頭になってしまいます。大人が子どもの質問をよろこび、わけを一緒に考える、それが「意味論=本質論」としての強い知をつくるのです。
 年を重ねても「問答」する人として生きられたら楽しいはず、わたしはそう思っています。(Takeda)


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情報化された知 と 心身全体での会得  

 活字・音声・映像の溢れるような情報の中で、私たち現代人は、〈情報化された知〉と〈心身全体での会得〉との相違をあまり自覚しなくなっているようです。
 このことが、子どもたちの教育の場において深刻な問題を生みだしています。
 現代は、受験主義の手法が支配しているために、なまの直接経験をもつ余裕がなく、記号や観念の操作が優先されます。しかし、〈五感〉を使っての認識や思考錯誤がおろそかになると、現実と観念が遊離する結果、自分の力で「意味をつかむ」ことが出来なくなります。
 「心身全体による会得」という知の方法を身につけないと、当否を確かめる最終の根拠である内在が希薄となり、生き生きとした現実感が消えるのです。これは、実に恐ろしい現代の病と言えましょう。 (Takeda)


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子育て・教育の基本は、心身全体による愛です。

  お母様、お父様、すでにご経験の通り、子育て・教育の基本とは、文字通りの触れ合い、だっこしたり、おんぶしたり、ふざけあったり、また、心のこもった視線や感情の豊かな抑揚のある言葉で接すること。ひとことで言えば、心身全体による愛です。
 いうまでもなく、理屈以前の楽しい触れ合いがなければ、健全な心をもつ人間は育ちません。愛情とは、心身全体によるもので、子どもが自分を心底「肯定」できるのは、全身で愛されているという実感のみです。愛されて育つ子は、他者をよく受け入れ・愛することができます。
 もしも、子どもを「言葉」だけで教育できると思っている方がおられるなら、それは明らかに間違いです。子どもが著しい適応障害を起こすのは、「理性」の不足ではなく「愛」の不足によるからです。心身全体による愛は、人間のさまざまな営みを「よい」ものにするための基本条件なのです。(Takeda)

コメント (6)
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