高校生のころから聴き続けてきたホロヴィッツ。
華麗なる名人芸と自己への沈潜が同居し、七色に変化する音色は、誰もまねできない独自の世界。
1年前に買い、まだ全部は聴き切れていませんが、カーネギーホールでのホロヴィッツのライブ演奏を収めた41枚組のCDボックス。
昨晩からは、1967年11月のライブを聞いています。ベート-ヴェン28番から始まり、ショパン、スカルラッティ、シューマンのアラベスク、いまラフマニノフのエチュード。この後にアンコール。最後は彼が編曲したカルメンのテーマ。
しかし、ホロヴィッツほどカーネギーホールが似合う男はいないな~~~!独自の美学は、なにもかも超えて慄然とキラキラ輝く。主観性に徹した粋な男の晩年、入りびたりだったのが(死の前日まで)昨年に続き今年11月に来日のペライア。20代の時。
う~~ん、ペライアが、自分の演奏がホロビッツの影響ではない、と言うのは分かる。うん、似てる(笑)。しかし、到底まねのできるものではない。ペライアが誰よりも和声を重視する交響的大きさの世界を切り開いたのは、ホロヴィツの後にはそれしかないという必然ではないか。
なんと豊かな人間同士の交流だこと。
武田康弘