思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

「芸を仕込まれたアシカ」と同じような現代文化ーそれと対極にあるポール・ルイスのピアノ

2015-05-10 | 学芸

芸術でもスポーツでも、はては、学問も政治も、
現代文化の特徴は、「幼いころから芸を仕込まれた人たち」が華々しく活躍するところにあるようです。

 自分自身の内なる興味や関心に従い、思考錯誤しながら何かに取り組むのではないのです。

 だから、どんなに上手くても、どんなに華麗な技をみせても、どんなに知識を披露しても、わたしの心身・臓腑に落ちません。壮大な嘘・華麗なる嘘は、どれほど美しく見えようとも、人間ゆえの善美の世界とは異なります。

 内なる精神の躍動、内からの湧出ではなく、「つくりもの」でしかないのです。

   後から知ったことですが、わたしが悦び感動したベートーヴェンのピアノソナタ全曲とディアベリの主題による変奏曲を弾いているポール・ルイスがピアノを始めたのは、12才の時とのこと。しかも両親とも音楽とは無縁の人であり、彼個人が、8歳の時にクラシックが好きになり、図書館でレコードを借りて音楽にのめり込んでいったとのこと。

 なんだか現代では奇跡のような話ですが、これを知ってわたしは、深く納得したのです。なぜ、これほどまでに彼のピアノがわたしを惹きつけるのかを。心身の底から満足ー稀有な例です。

 わたしたち自身がこの「芸を仕込まれたアシカ」という世界とは無縁なところで生きたいものですが、マスコミによる占脳・染脳は、実に深く、そこからの脱出は容易ではないようです。

 学習も同じ、幼いころからその子の興味とは無縁で、仕込むだけ。これでは精神疾患者の方が多数を占めそうですね(笑)、おっと、笑ってはいられませんが。


 武田康弘

コメント (2)
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