ピアニストのポール・ルイスとヴィオリニストのイブラギモヴァ、この二人は、生まれも育ちも大きく異なります。
ルイスは、1972年、イギリスもリバプール生まれ(今年で43歳)で、両親とも音楽には興味がなく、ピアノを習い始めたのは12才の時、
片や、今年ようやく30歳のイブラギモヴァは、ロシア人で、4歳の時からヴァイオリンを習い、12才の時にイギリスに移住してメニューイン音楽学校に入り、彼の最後の弟子にして、わずか14歳でメニューインの追悼演奏を任されたという早咲きの天才です。
わたしは、この二人をいま聴くべき最高の演奏家だと思います。独創的かつ普遍的な演奏で、新たな世界を拓きます。若さ・覇気・断固たる主張は実に気持ちよい。
二人に共通する特質は、
自分が取組んでいる作品は、どのような音楽なのか、どこにどのような魅力があるのか、それが極めて明瞭に表出される。
その曲の何を表現したいのか、見事なまでにピントが合っていて、内的明瞭。「一般的」に優れた音楽を奏でようという、だるさ・つまらなさが皆無。
自然に=内発的に湧き上がる音楽で、何度も聴きたくなり、気持ちがよい。
どのように聴かせようか、という作為がない。 外側から設計された音楽ではなく、内なる世界、主観の豊穣による自信に満ちた音楽、他者の評価に怯えるような弱さがない。
21世紀は主観性の豊穣の時代へ! みなが自己肯定と愛に満ちた自由な世界を生きよう!というわたしの主張とピタリと符合します。二人の演奏は、どんな悲惨も乗り越える~~~
その二人が、今年10月、共に銀座の王子ホールでリサイタルを開きます。イブラギモヴァは、モーツァルトのヴァイオリンソナタ全曲演奏会(5回のうち3回)、ルイスは、ベートーヴェンのピアノソナタ最後の3曲です。う~~ん、いまからドキドキ。CDに聴くルイスのベートーヴェンは、初期中期は万全、最後の3曲はまだ発展の可能性があるので、当日が楽しみ。イブラギモヴァは、モーツァルトの録音がないので予想の付かない面白さ。その直前・9月27日にはモーツァルトの協奏曲を東京交響楽団と。これも聴きます。小林洋子さん設計の評判の名ホール・川崎ミューザです。忙しい!!(笑)。ああ、10月4日 はウィーンフィル(サントリーホール)も行くのだった!充実しすぎでどうなることやら(笑)
武田康弘