★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

(娘)・妻・(母)

2012-03-26 06:35:05 | 映画


原節子、高峰秀子、宝田明、小泉博、仲代達矢、団令子、草笛光子、淡路恵子、加東大介、上原謙、杉村春子、太刀川寛、中北千枝子、笠智衆、塩沢とき、笹森礼子、三益愛子、森雅之、成瀬巳喜男、広沢栄、井手俊郎、松山善三、斉藤一郎、安本淳、中古智、大井英史、藤好昌生、下永尚、石井長四郎

すごいメンバーだ……スター出し過ぎ……(あ、監督とか撮影の人も一緒にしてしまいました。申し訳ありませんー。)

私の見たところ、原節子様のベストショットは、黒澤映画「我が青春に悔いなし」で慣れない田んぼでの労働で泥だらけになっているところと、小津映画「晩春」で「このままお父さんと一緒にいたいの・・・」と言うところ。だと思うが、あんまり美人に撮れてない感じがした。無論それが画面での意味であり狙いなわけだろうけれども。しかし、この「娘・妻・母」では最後の最後まで美しく描かれる。しかしこれは、なにか陰謀めいている、というのは、原節子演じる長女の純粋さ──再婚して母親と一緒に暮らそうと思っている──が、嫁の高峰秀子の思惑と、母親の三益愛子の再出発への思いで、覆りそうになっているところで映画が終わるからである。脚本が松山善三だからかもしれないが……、じつに意地悪というか、最後に妻の高峰秀子の存在が実は虚の中心であったと思わせてしまうところ、公私混同も甚だしい(笑)実際、「家族」の存在がそもそも前提であってそこに金銭的にも観念的に甘えることが出来る母親や兄妹達と違って、この「家」から離れたら行く場所がない高峰秀子の執念は重要であって、どうも兄妹達はその重さをなめている訳である。だいたい高峰秀子のおじさんのトラブルがなければ、家を売らなければならなくなり母親の面倒を誰がみるかをめぐって遺産相続が何たらかんたら……といったゴタゴタは存在していないわけであって……。

DVDの箱も表がなぜか高峰秀子の映画みたいになってるし。(裏に原節子が映っている)

結論:秀子様がやっぱり最高