『プリシラ』という映画は見そびれていたが、遂に観た。三人のドラァグクイーンがオーストラリアを旅するロードムービーである。途中で、アボリジニとの交流とかが描かれ、砂漠のなかを音楽に乗って軽快に進んでいくので、わたしはつい「イージー・ライダー」のような悲惨な結末を思い浮かべて、不安になっていたが、そんなことはなかった。よかったよかった。
それにしても、この映画でも音楽のセンスが素晴らしく、日本の映画でよくみられる「音楽が とにかくすべてを ぶち壊し」からは遠く離れた映画であった。冷静に考えてみると、ドラァグクイーンたちの居場所は、シドニーの舞台の中でしかあり得なかった訳だから、かれらは自分たちがまさに砂漠の中を歩いているようなものだということが分かったはずなのである。息子となかよくなったり、彼氏が出来たりした人もいたわけだが、それは付け足しのようなものだとおもう。救いは音楽にしかないように思われた。