★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

インフエリオリテイ・コムプレツクス

2018-04-15 23:14:52 | 文学


荒正人の「負け犬」は、戦後派の代表的論文としてあつかわれていたりするのであるが、「負け犬」を「アンダ・ドッグ」、「劣等感」を「インフェリオリティ・コンプレックス」と力を込めてルビを振ってあって、なんかどことなくおしゃれな感じもするから面白い。荒正人は理想主義的ではなく、負けとか勝ちとか拘る相対主義者なのである。案外、最近の若い子たちにも受けるのではなかろうか。「負け犬」の次に書かれた「三つの世界」なんて、いまなら、パワ~ポイントで華麗に図式化できる程のポストモダンぶりである。