うるさいよりすさまじい 2014-06-02 23:06:57 | 文学 二人はベルツの銅像の前から枳殻寺の横を電車の通りへ出た。銅像の前で、この銅像はどうですかと聞かれて三四郎はまた弱った。表はたいへんにぎやかである。電車がしきりなしに通る。 「君電車はうるさくはないですか」とまた聞かれた。三四郎はうるさいよりすさまじいくらいである。しかしただ「ええ」と答えておいた。すると野々宮君は「ぼくもうるさい」と言った。しかしいっこううるさいようにもみえなかった。 ――夏目漱石「三四郎」 #小説(レビュー感想) « 今年も灼熱列島 | トップ | 性質がひどく憧憬的だ »