★夏掛けのみづいろといふ自愛かな 能村登四郎
★夏掛のみづいろこころ清くあらむ 辻美奈子
第1句、水色というのはとても清々しい色である。涼しさも呼ぶ。夏掛けの生地は水色、薄い緑など涼しさを呼ぶ色合いが多い。それがまた体にやさしくふわりとかけられると、安らぐものである。「みづいろといふ自愛」いい表現である。解説していくと柔らかさや愛おしさがどんどん薄れてしまう。このままで味わいたい。
第2句、同じく水色の夏掛け。こちらもそんな水色の性質を詠んでいる。
しかし以前に取り上げた「夏掛の男のごとく頼りなき 小林貴子」も好きな句であるが、対極にある句である。夏掛けを出して来るたびにこの対極を思い浮かべる。