
紅花(べにばな)はキク科の2年草で六月ごろ紅黄色の薊に似た花を咲かせる。朝露が乾燥する前にこの花を摘んで、紅の顔料にする。日本にも古くから伝わったといわれる。江戸時代には最上地方で盛んに採取され、大切な物産となっていたようだ。私は東北地方でしか栽培がないと思い込んでいた。しかし私が佐賀県の吉野ケ里の遺跡を見に行ったときも、紅の花の栽培がおこなわれていたらしい展示がされていた。
紅花、紅藍花、紅粉花と表記していづれもベニバナと読む。末摘花(すえつむはな)は別名。源氏物語の巻名でもある。
学生時代、授業をさぼって山形の最上川沿いを列車で通り過ぎたときに、紅花が咲いていると後ろの席の人が喋っているのを見て、初めて紅花というものを見た。それ以来あのあでやかな花に惹かれるようになった。
★まゆはきを俤(おもかげ)にして紅粉(べに)の花 芭蕉
★クレムトの抱擁末摘花にかな 小枝秀穂女
★紅粉の花黄昏の黄のさだまらず 加藤楸邨
芭蕉の句、紅の花を見て、どのような女性を思い出したか。興味はあるが、詮索することは控えておいた方がよさそうでもある。芭蕉のこのような艶のある句には多くの人が惹かれる。
2句目、末摘花にクリムトを配したのが、新鮮でもあり、大胆であり、想像の幅がひろがったように思う。
★吉原の土手に子日(ねのひ)の松ひかん 季語は「ねのひの松」で新年。
★打ちゆがむ松にも似たる恋をして
★語ることなければ君にさし向ひ
★手枕にほそき肱(かいな)をさしいれて
始めの句を季語がはいっているが、他は季節は不明。歌仙の中の恋の座で読んだ恋の句である。
暫く眺めてしまいました。
紅花は東北を旅した時に車窓から眺めましたが
黄と紅色と言う派手さにも関わらず
何処か落ち着いた印象でした。
次に見たのは高崎観音山の染色センター
同じ紅でも濃度のコントロールで微妙に異なる染め上がりになるんですね。
そうして出来上がった生地の何と柔らかそうな事、時間の経つのも忘れ見入っておりました。
そうそう、紅花は食用油としても用いられていますね。
吉野ケ里で撮影した時は、鼻の盛りが終わっていたので、なかば萎れた花が主でしたので、それは断念しました。
仰るとおり、落ち着いた雰囲気がありますね。同感です。
紅花で染めた生地、今目にしたら購入したいと思うでしょうね。若い頃はそこまでは思い至らなかったです。
紅花油、そういえば瓶を見たことあります。どんな味かな?