青い空とグレイの空
白いシーツに黒い穴
私は鍾乳洞への旅に出た
そこではすばらしい夢のにおいがした
陽光と汗でできた
荘厳な静けさと圧力のバランスの中
もうひとつの私の肉体を発見した
両の手のひらでゆっくり懐かしく点検した後
自分と同じ印を見つけた
かつて私たちは一塊の肉と魂だった
生活の不便さと勝手なエゴによって分かれた
(単純な好奇心のせいだったろうか?
これが最期かもしれないとも思わずに
理性よ
もう一度目を覚ませ
「私はお前だけのものだ」と囁いておくれ
この旅から帰る頃には
また見失ってしまうかもしれないから
いや私はすでにもう失くしていると知っている
彼は下着をつかみ寄せ
「どこへ行くの?」と聞いたのに
私は新しい下着にかえてしまったから
真っ白なシーツで覆ってしまったから
青一色の空に変わってしまったから
理性を取り戻し目を覚ましてしまったから
(あるいは単純な好奇心のせいだったろうか?
ふたたび腹を満たすために
ハチミツ色に光るリンゴに手を伸ばした
ふたたび長く果てのない旅に出かけた
このつぎ偶然の機会に出会うのは
何年先か? 百年先か?
もう一度 印を合わせて
懐愁を求めて
かつて楽園に暮らした神々たちは
十数世紀を経て 世代も移り変わり
性と人種と宗教の公平を唱えた
最新装丁のバイブルを読んでいる
最近はゼウス当時の復古版が
レトロブームに沸いている
「古代の神々はなんと愚かで私欲に満ち
偏狭だったものかしら」てね
1996.9.29作
白いシーツに黒い穴
私は鍾乳洞への旅に出た
そこではすばらしい夢のにおいがした
陽光と汗でできた
荘厳な静けさと圧力のバランスの中
もうひとつの私の肉体を発見した
両の手のひらでゆっくり懐かしく点検した後
自分と同じ印を見つけた
かつて私たちは一塊の肉と魂だった
生活の不便さと勝手なエゴによって分かれた
(単純な好奇心のせいだったろうか?
これが最期かもしれないとも思わずに
理性よ
もう一度目を覚ませ
「私はお前だけのものだ」と囁いておくれ
この旅から帰る頃には
また見失ってしまうかもしれないから
いや私はすでにもう失くしていると知っている
彼は下着をつかみ寄せ
「どこへ行くの?」と聞いたのに
私は新しい下着にかえてしまったから
真っ白なシーツで覆ってしまったから
青一色の空に変わってしまったから
理性を取り戻し目を覚ましてしまったから
(あるいは単純な好奇心のせいだったろうか?
ふたたび腹を満たすために
ハチミツ色に光るリンゴに手を伸ばした
ふたたび長く果てのない旅に出かけた
このつぎ偶然の機会に出会うのは
何年先か? 百年先か?
もう一度 印を合わせて
懐愁を求めて
かつて楽園に暮らした神々たちは
十数世紀を経て 世代も移り変わり
性と人種と宗教の公平を唱えた
最新装丁のバイブルを読んでいる
最近はゼウス当時の復古版が
レトロブームに沸いている
「古代の神々はなんと愚かで私欲に満ち
偏狭だったものかしら」てね
1996.9.29作